孤独のグルメ出演で食べログ評価は変わるか シーズン7に出た10店舗の点数を分析した

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まず、五郎が訪れる町が決まり、その地域のお店を複数のスタッフが手分けして実際に食する。気になったお店は違うスタッフが何度も通い、味だけでなく雰囲気や店員の様子を調査する。採用基準は純粋にもう1回行きたいかどうかだそうだ。

筆者がひいきのお店が番組に出演した際、店主に撮影などの様子を聞いたところ、事前にすべてのメニューを食べてから交渉に来たそうだ。

撮影の時に不思議だった光景は、五郎が注文する以外はお店では一言もしゃべらずに黙々と食事をすることだったそうだ。しかし、撮影前やカメラが止まると、松重さんのほうからお店の人へ気さくに話しかけ、なかには撮影のアイデアもその場で発言するという。

放映を見ればその理由がわかるが、「孤独のグルメ」で五郎はもう1人の自分に語りかけて会話を楽しみ、食べているときの映像では一切、言葉を発していない。五郎が食べるシーンは、初めてのお店で誰にも邪魔されることなく没頭して食べたときの感動を、顔の表情や仕草の変化で演じている。画面にはおいしさの一期一会が映し出される。

残すことなく完食

もし、実社会で食事をしながら、あの会話を独り言で話していたら、不思議な人そのものであろう。また放送後、食べる際ににんまりしているお客さんを見ると、心の声を楽しみに訪れた「聖地巡礼者」をする孤独のグルメのファンだとすぐわかるそうだ。

撮影はお店の営業時間外になるため、なかには早朝からガッツリ飯もありえる。また、番組に登場する料理は実際にすべてリアル店舗で提供されているので、量の加減はしていない。そして、松重さんは残すことなく完食している。

12月31日に放送される五郎の慌ただしい年末の2日間(12月30日、31日)を描く、「孤独のグルメ大晦日スペシャル 京都・名古屋出張編 生放送でいただきます!」は、昨年に比べ今年は生放送部分が拡大する。

主演の松重豊氏は、「大晦日恒例、と言っても2回目ですが、『孤独の生グルメ』今年も年明け30分前まで食べ続けます」とこの番組への思いを語っている。

大みそかの夜、食欲をそそる五郎の食べっぷり映像が流れるたびに、テレビの前で空腹感が抑えられなくなり、ツイッターなどのSNSで「夜食テロ」がつぶやかれることになるだろう。

今年も視聴者は、そのお店に行きたいと思いを馳せ、年が明けることになるのはどうやら避けられそうにない。

新山 勝利 研修講師、マーケティングコンサルタント

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にいやま しょうり / Shouri Niiyama

専門領域は店頭マーケティング、購買心理プロセス、顧客満足度。飲食店のコンサルティングでは、点数を分析したデータ主義で売上向上を図り「食べログ」の評価3.50点達成を推進する。顧客満足を高める販売促進、店舗の活性化や売場づくりのためのノウハウを提供。メーカーや全国の商工会議所などの団体、広告代理店、卸売、量販、チェーン店などが主要顧客。他業界の成功事例を用いて、写真や図表を活用した説明を行う。世界30カ国、150都市を歴訪。中でもフランス・パリには30回訪問。諸外国の先進的な産業事例にも造詣が深い。多数の専門誌に執筆するほか、各種マーケティング学会で論文発表。著書に『売れる商品陳列マニュアル』(日本能率協会マネジメントセンター)など。公式サイトはこちら

 

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