正月はいつも「晴れる」気がするのはなぜか 冬は天気予報が当たりやすい季節

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平均雲量も約8.98。東京や名古屋と比べて、いかに晴れの日が少ないかがよくわかります。そういえば、昔学校で気候区分について習ったことを覚えている人もいるかもしれません。太平洋側は、「太平洋岸式気候」と呼ばれる気候区分に属しており、夏の降水量が多く、冬の降水量が少ないのが特徴です。その一方で、日本海側は「日本海岸式気候」で、夏より冬の降水量が多いのが特徴です。

どうしてこのような気候の違いがあるのでしょうか。

「シベリア高気圧」の正体

日本の冬の気候を作る原因となるのが、冬に発生してシベリア付近に居座る「シベリア高気圧」です。このシベリア高気圧は、-40℃近くにもなる冷たく乾燥した空気でできています。冬はシベリアのような高緯度地方では、太陽から受け取る熱よりも、地球から宇宙に向かって逃げる熱のほうが特に多くなります。だから気温が低くなるのです。

しかも、大陸は海と比べて熱しやすく冷めやすい性質を持つため、冬になると地表付近がキンキンに冷えます。すると、その地面と接する空気も非常に冷たくなるのです。冷たい空気は重いため、気圧が高くなります。これがシベリア高気圧の正体です。

冬は西にシベリア高気圧があり、東に発達した低気圧が存在することがよくあります。これが「西高東低の気圧配置」と呼ばれ、典型的な冬型の気圧配置となります。このような気圧配置のとき、天気図を見ると日本付近では同じ気圧を結んだ等圧線が縦縞模様になっています。

(出典:気象庁HP)

風は気圧の高いところから低いところに向かって、等圧線を横切るような形で吹く性質があります。そして、等圧線が狭くなればなるほど風は強くなります。ですから、ちょうどシベリア高気圧から日本に向かって強い風が吹きます。これが冬の季節風です。こういう天気図のときは、風がとても冷たいので、外に出るのが億劫なものです。

シベリア高気圧を構成する空気は、もともとは冷たくて乾燥しているのですが、そこから吹く風が日本海を渡るときに、日本海からの水蒸気をたくさん吸収して湿った風になります。
シベリア高気圧を構成する空気は約-40℃ですが、日本海の水温は十数℃程度。つまり、温度差は約50℃です。冬の海というと泳ぐには寒そうですが、シベリア高気圧からの風にとっては、日本海はお風呂のような存在なのです。

こうして湿った季節風は筋状の雲を発生させます。これが日本列島を縦断する山脈にぶつかると、雪を降らせるのです。日本海側が冬にすっきりと晴れない理由、そして日本海側の山間部が豪雪地帯になるのはこういう理由です。

さて、この湿った季節風は、日本海側の山間部で雪を降らせると再び乾燥した空気に戻ります。そして、山を越えて太平洋側に吹き降りるのです。いわゆる「空っ風」です。乾燥している空気なので、太平洋側は晴れることが多いというわけです。

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