正月はいつも「晴れる」気がするのはなぜか 冬は天気予報が当たりやすい季節

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なお、日本海側に大雪をもたらす雲は積乱雲です。積乱雲というのは雷雲という別名もありますが、その名の通り雷をもたらします。ですから、日本海側では冬によく雷が鳴ります。冬の雷をもたらす積乱雲は、夏の積乱雲よりも背が低いうえ、落雷数も少ないのが特徴です。こう書くとたいした雷ではなさそうですが、そのかわりいざ落雷したときの雷のエネルギーはすさまじく、夏の雷の100倍以上になることもあります。

日本は中緯度なのに世界で類を見ないほど雪が深く積もります。しかも、冬の雷というのも世界ではほかにノルウェーの西海岸や北アメリカの五大湖や東海岸くらいでしか観測されない非常に珍しい現象だといわれています。大陸付近にありながら海に囲まれているという日本だからこそ、このような珍しい現象が発生するのでしょうね。

「冬型の気圧配置」とは

ちなみに、太平洋側で雪が降るときは、この「西高東低の気圧配置」とは違った気圧配置の場合です。ちょうど日本列島の太平洋側の沿岸部をなめるように移動する「南岸低気圧」が通過すると雪が降ることがあるのです。

この南岸低気圧は、どちらかというと冬から春にかけての季節に日本列島を通過しやすくなります。しかし、南岸低気圧が通過しても、必ずしも雪が降るとは限りません。雨になるのか雪になるのかは、寒気の強さや低気圧の発達の度合いなどの要素が複雑に絡み合って決まるからです。

特に関東地方ではさほど寒くないため、南岸低気圧が通過しても雪ではなく雨になることは珍しくありません。ホワイトクリスマスになることはめったになく、雪が降るのは寒さがピークを迎える1月であることがほとんどです。(念のため気象庁のデータベースを使って1967~2018年の52年間で、12月24日のアメダスの「東京」の夜間(18~翌6時)の天気を調べたところ、「雪」の日は1日もありませんでした。そして「名古屋」の同期間を調べると、1日だけ「一時雪」がありました)

さて、このような冬型の気圧配置というのは、日によって緩む日はあるものの、だいたい毎日続きます。ですから、似たような天気が続きます。

当然、天気予報も当たりやすくなります。気象庁の降水の有無の予報の的中率は、冬の関東甲信越地方で90%、東海地方で86%、北陸地方でも85%と非常に高いのが特徴です。

(出典:気象庁HP)

そう考えると、やはり「太平洋側に住んでいる人にとっては」と前置きがつきますが、「正月は晴れる気がする」のは、決して気のせいではない、ということがいえるわけです。

今井 明子 気象予報士・サイエンスライター

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いまい あきこ / Akiko Imai

2001年京都大学農学部卒。酒メーカー商品企画部、印刷会社営業職、編集プロダクションを経て、2012年からフリーに。子ども向けや一般向けにわかりやすく科学を解説する書籍や記事を多数執筆。著書に『気象の図鑑』(共著、技術評論社)、『異常気象と温暖化がわかる』(技術評論社)がある。ほか、医療・健康、教育、旅行分野も得意。気象予報士として、お天気教室や防災講座の講師も務める。

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