退職に関するサービスはまだまだ発展途上だ 「退職代行サービス」を始めてわかったこと

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各サービスの大きな違いとしては、次の3つがある。

1.  料金
2.  転職支援の有無
3.  弁護士が行っているサービスか否か?

「料金」と「転職支援の有無」に関しては、その違いによるメリットがイメージしやすいと思う。しかし、「弁護士が行っているサービスか否か?」に関しては、その違いによるメリットがわかりづらいのではないだろうか?

退職代行サービスのWebサイトを見ると、「非弁リスク」について必ず言及されている。非弁リスクとは、退職代行を行う際に非弁行為を犯してしまうリスクを意味する。

非弁行為とは、弁護士法72条にこう記載されている。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第72条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

弁護士が運営していない退職代行サービスだと、必ずこの非弁行為に当たらないようにサービス範囲を次のように限定している。

・退職希望を企業に連絡するだけで退職完了するケース:対応可
・退職希望を企業に連絡した際、何らかの交渉が伴うケース:対応不可

では、どのようなケースだと「交渉」が伴うかというと、次のようなケースがある。

1.  離職票を発行してくれない
2. 「訴えるぞ!」と損害賠償請求をチラつかせてくる
3.  給与支払、有給消化を拒否する

これらの場合は、どうしても交渉が必要となってしまうため、退職代行サービスでは対応に限界があると言わざるを得ない。業者によっては、退職代行の成否に関わらず、業務が発生した際に料金が発生するため、非弁リスクにより退職代行が失敗に終わっても料金は払い戻されないケースもある。

大半はすんなり退職できるが、企業が反発する例も

前回の記事でも述べたが、自社でも退職代行サービス「リスタート」を運営している。サービス開始から約2カ月が経過したが、実際に事業を始めていろいろと見えて来たことがある。退職代行を実施した場合の企業側の対応をまとめると次の通りとなる。

ケース1 すんなり退職できるパターン

大半はこのケースだ。企業側がすんなり本人の退職意思を受け入れてくれるため、ほんの数分電話しただけで退職が完了してしまう。企業からは、「急な話で驚いた」「自分の口で言ってほしかった」といった反応が返ってくる。第三者的には、ブラックな環境だと感じるような企業は少ない。

ケース2 企業が反発しても交渉にならないパターン

企業が拒否しても、退職すること自体は問題なくできる。なぜなら、民法第627条で労働者には次のような「自由に、いつでも、退職できる権利」が認められているからだ。

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

ここで交渉が発生してしまうと、非弁行為となってしまうため、状況(本人の退職意思は固く、すでに退職は避けられないこと)を説明し、企業には自発的に納得してもらうしかない。

パターン3 企業が反発して交渉になるパターン

このケースでは、非弁行為となってしまうため、対応が難しい。法律上は本人の退職は可能だが、その交渉に関しても本人と直接やりとりをするということになると、代行サービスでは対応できなくなってしまう。

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