弁護士が行っていないサービスだと、退職代行できる範囲にも限界がある。ただ、弁護士に依頼すると料金はやはり高額になりやすく、できることなら自分で退職した方がお金もかからず、メリットはあると感じた。そこで自分で退職をスムーズに進めるために役立つ方法をいくつか紹介したい。退職代行を利用する程ではないと思っている方は、まずはこの方法を検討してほしい。
方法その1 内容証明郵便で退職届を出す
内容証明郵便とは、いつ、どんな文章を誰宛に差し出したかということを、郵便局が証明する制度。この内容証明郵便であれば、企業に提出した退職届の内容と届けを出した日付が公的に証明されるため、確実に「退職届を提出したという事実」を作ることができる。退職届けの作成例は下記の通りだ。
退職届
◯◯株式会社(代表取締役名) 御中
このたび一身上の都合により平成◯年◯月◯日付けで退職することとしましたので、本日、貴社との労働契約の解約を申し入れます。
××××年×月×日
氏名 ◯◯◯◯ (印鑑)
原本とそれを複製した謄本を郵便局に提出すれば、原本は会社に送付され、謄本は郵便局で管理してくれる。
方法その2 有給休暇取得申請をする(有給が残っている場合)
また、退職が決まっても有給休暇(有休)が残っている場合であれば、同様に内容証明で有休取得申請を送り、有給を取得して退職日まで会社に出社しないという方法もある。
有給休暇申請書
株式会社◯◯ 御中
所属部署 ◯◯
氏名 ◯◯◯◯ 印
当然、有休が残っていなければ、この方法は取れない。事前にどの程度有休が残っているのか、確認しておきたい。半年以上勤務し、全労働日の8割以上勤務していれば、アルバイトや派遣社員でも有休が与えられる。
就職、転職に比べ「退職」サービスは発展途上
特に20代は、退職に関する法的知識やノウハウをあまり知らないことで、辞めたくてもうまく辞められないというケースが多い。そのため、こうしたサービスへのニーズがあるようにも思える。
ただ、盛り上がってきたとはいえ、「就職」「転職」に比べて、「退職」に関するサービスはまだまだ整備されていないと感じる。
転職が増え、副業も解禁されることで労働市場の流動化は今後も進むだろう。そうなると、「職に就く」ことだけでなく、「職を離れる」ことに関しても、サービスが充実していくことが重要になる。
弊社では「リスタート」のサービスを、12月から退職代行から転職サポートを主軸とする退職支援に変更した。サービスを運営していく中で、退職方法や退職に関する法的知識があれば、自分自身で退職できる利用者が多いという実情がわかったからだ。今後は退職に関するノウハウ、法的知識の情報公開、適切な退職代行サービスの紹介を行っていく。
このような転職サポートと連動させた退職支援を行う民間サービスがもっと出てくるかもしれない。また、労働基準監督署やハローワークが公的サービスとして、退職相談の窓口を開設する可能性がないわけではない。
退職代行を利用するユーザーの目的(代わりに企業に退職意思を伝えてもらいたい)を考えると、退職代行サービス自体はなくならないと考えている。ハラスメントが常態化しているブラック企業においては、それほどまでに「自分で辞める」ことが難しいのだ。
当然だが、仕事よりも自分の人生の方が大事だ。もし、今の会社で自分の精神が蝕まれているのであれば、退職を考えてみてもいいのではないだろうか? 自分がそう思い込んでいるだけで、会社は意外と簡単に辞められるのだ。
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