「就活」が、働かないオジサンを生む!? オジサンを働かなくさせる、たった2つの要因

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銀行は、大学生にとって大口の就職先である。メガバンクになると、総合職だけでも毎年数百人単位の採用数がある。

この背景には、企業が卒業予定の学生を対象に内定を出し、卒業後すぐに勤務させる新卒一括採用という、日本独特の雇用慣行がある。

採用された総合職は、毎年、同期として同じスタートラインにつく。銀行員の出世レースが始まるのである。

長く都市銀行で働いた後に、作家に転じた江上剛氏の企業小説『失格社員』にも、銀行員の評価についての記述がある。入社7年目までは一律の扱いをされるが、そこから役職や給与の差がつき始める

一般企業でいえば係長クラスである主事(年収ベースで200万円はアップ)に最初に昇進するのは、同期入社のうち3割にすぎない。この最初に昇進する社員を第一選抜と呼ぶことがあるという。翌年以降は、残った行員7割の内、1割か2割程度が毎年昇進する。

これは単なる評価づけにとどまらず、その後の働く部署にも影響するらしい。第一選抜だと、本部の企画部門や国際・証券分野などに抜擢され、第二選抜なら国内審査・債権回収部門などの少し華やかさに欠けるポストに配属。第三選抜以下になると、支店勤務で銀行員生活を終わることが普通になると、小説では書かれている。

そして、その後も出世競争は続く。次に来る大きなポイントは、「30代後半の管理職の選別である」と、メガバンクの行員は語る。一般企業でいうと、本部の課長クラスの登用に該当する。

新聞や経済誌の銀行特集記事などを踏まえると、この管理職の切符を最短の年次で手にするのは、同期入社のうち全体の2~3割程度で、次の年以降、何割かが昇進していく仕組みになっているようだ。そしてこの後も、支店長や本部の部長、役員などへの選別が進むのである。

あるメガバンクの有価証券報告書を見ると、最初に執行役員になるのが、入社27年の50歳あたりである。もちろん同期入社の中でも、役員になるのはごくわずかにすぎない。ある都銀の元行員の話では、200人の同期のうち役員になったのは2人であるという。

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