「自分の伸びしろ」に期待する人の残念な傾向 その認識は周囲のものと合致しているか?

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ちなみに自らの認識としての伸びしろという言葉を世に出したのは、サッカー日本代表として活躍してきた本田圭佑選手ではないでしょうか?本田選手は 2012年のW杯アジア最終予選のインタビューで、

「伸びしろは常にMAX。それがいまの代表の強み」

と発言。以後も勝ちきれない、もどかしい日本代表の試合の後に、

「課題が多いですが、その課題の多さに伸びしろを感じている」

とのコメントが注目されました。このあたりから、若手社員からも同様の用法で語るのを耳にする機会が増えたように感じています。

本当に目指すべき方向と成長余地はどこにあるのか

さて、そんな伸びしろについて、自己認識と周囲の認識がすれ違っている可能性もなきにしもありません。相手も同じように考えているはずと思い込むのではなく、両者ですり合わせて、本当に目指すべき方向と成長余地はどこにあるのかについて、丁寧に考えてみてはどうでしょうか。

たとえば、営業担当としてお客様に対する人。コミュニケーション力不足を改善すべきと先輩社員は認識しているのに、本人は提案力不足に改善の余地、つまり伸びしろを感じており、誤った方向に努力のエネルギーを注いでしまっているというケースに遭遇したことがありました。

その若手社員はビジネススクールにも通い、提案書のクオリティーを高めるために相当な努力をしていました。ところが営業成績は一向に上向きません。ついには「ここでは伸びないので営業職から離れたい」と別の部署に異動を希望。

でも、周囲からすれば、ずれた自己認識を改めることができないのであれば、どの部署でも活躍は厳しいと、異動はかないませんでした。

本来であれば先輩社員とすり合わせをして、認識を整理していくことができれば、もっと活躍ができた気がしてなりません。

さて、このように自己認識に誤解があると、間違った努力に時間を費やし、成果にたどりつかないことがあります。自分の思い込みで決めてしまうことなく、周囲の声に耳を傾けることが、将来有望な社員への道ではないかと思います。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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