地検特捜部、ゴーン氏「勾留請求」却下の屈辱 裁判所が特捜部の請求を蹴るのは極めて異例
東京地裁は11月30日に勾留延長申請を認めたが、今回は認めなかった。逮捕勾留は12月20日23時59分までで、日付の変わる12月21日午前0時以降、「起訴後勾留」のみの勾留状態になる。この状態でゴーン氏やケリー氏を取り調べようとすると任意での取り調べになる。任意なので、ゴーン氏やケリー氏は取り調べを拒否することができる。
「逮捕勾留」では10日間の期限内ならば検察の判断で勾留し続けることができる。が、「起訴後勾留」では、ゴーン氏やケリー氏の弁護士が保釈を請求すれば、裁判所の判断で保釈することができる。
久木元次席検事は「弁護士から裁判所にまだ保釈請求は来ていないと聞いている」と述べた。保釈請求が来た場合、裁判所は検察の意見を聞いて保釈を決定する。検察が意見を述べるまでの期間は「深夜に来れば翌朝だが、なるべくその日のうちに意見を述べる。金曜の夜に意見を聞かれれば翌週月曜ということはある」(同)。
裁判所から保釈請求への意見を聞かれた場合、検察は「一般的には反対するが、今回どうするかはコメントを差し控える」(同)。
12月20日夕方の段階で再逮捕容疑での起訴をしていないが、久木元次席検事は「本日夜中に起訴するのも選択肢のひとつ」と述べた。
ゴーン氏保釈のハードル
ゴーン氏保釈にとってのハードルは、「海外逃亡のおそれ」と「証拠隠滅のおそれ」をどう払拭するか、だ。
海外逃亡の防止については、国内に住居を定めることがまず必要になる。「常識の範囲内で判断される。通常は元々の自宅」(久木元次席検事)。海外逃亡したら保釈金は戻ってこないので、大損をすると思わせるだけの保釈金設定もカギになりそうだ。ただ、保釈金はゴーン氏の保有資産から逆算する。ゴーン氏が巨額の資産を保有していることから、保釈金も巨額になることが予想される。検察側はそれでも海外逃亡のおそれが拭えないと抗弁するに違いない。
次に証拠隠滅のおそれ。ケリー氏と連絡を取れないようにするなどの仕組みづくりが焦点になりそうだ。ただ仕組みができたとしても、検察側は証拠隠滅のおそれが拭えないとして、保釈に反対するとみられる。
ゴーン氏は保釈されれば、会見を開く可能性がある。メディアの前でゴーン氏が検察批判を展開する可能性がある。そのことへの懸念を問われると、久木元次席検事は「メディアへの発信は本人たちの自由。何も懸念していない」と涼しい顔で答えた。
ゴーン氏は現在、ベッドがある部屋に移されているという(首に病気を抱えて手術予定だったケリー氏の処遇については不明)。勾留延長申請却下で保釈の可能性が出てきた現在、ゴーン氏は何を思っているのだろうか。
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