地検特捜部、ゴーン氏「勾留請求」却下の屈辱 裁判所が特捜部の請求を蹴るのは極めて異例

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
カルロス・ゴーン日産自動車元会長の勾留延長請求は却下された(撮影:尾形文繁)

12月20日。東京地方裁判所は日産自動車のカルロス・ゴーン元会長とグレッグ・ケリー元代表取締役(ともに現在は日産の取締役)の勾留延長申請を却下した。裁判所は却下理由を検察側に伝えていないという。

今後3日間のうちに検察は延長申請却下を不当として準抗告できるが、東京地検の久木元伸・次席検事は「却下されたことに対して適切に対処したい」と述べるにとどまった。

申請に対してまさかの判断

東京地裁が東京地検特捜部の勾留延長申請を却下するのは極めて異例だ。12月20日の会見で、「過去に延長が認められなかったことはあるのか」という記者の質問に対し、久木元次席検事は「明らかではない。あったかもしれないし、なかったかもしれない。どうやって調べたらよいのかもわからない」と狼狽した様子だった。

延長申請の却下は、検察が「さらなる取り調べが必要」としたのに対し、裁判所は「追加の取り調べは不要」と判断したことになる。捜査への影響を問われると、「さらなる捜査が必要だと判断して延長請求したので当然影響はある。(公判では)これまでの捜査結果で最善を尽くす」と久木元次席検事は悔しげに語った。

特別背任など別件による再々逮捕をすれば、東京地検はゴーン氏やケリー氏を少なくともさらに10日間、確実に勾留できる。が、久木元次席検事は「コメントを差し控える」と回答するのみだった。

東京地検はゴーン氏の役員報酬を過少に記載した有価証券報告書を提出したとして、11月19日にゴーン氏とケリー氏を2011年3月期〜2015年3月期の金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕。12月10日に同容疑で起訴するとともに、2016年3月期〜2018年3月期についても同容疑で再逮捕していた。

これによりゴーン氏とケリー氏は、起訴後も勾留する「起訴後勾留」(通常は初公判まで勾留される)と再逮捕による「逮捕勾留期間」(10日間。さらに10日間のみ延長が認められる)の2つの勾留期間が重複していた。

次ページ裁判所の判断で保釈が可能に
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事