2019年「金融危機」を招きかねない理由5つ 「エブリシング・バブル」ははじけるか
裕福なアメリカ人にとって、ここ1年ほどは1929年の再来のように感じられたことだろう。1929年といっても、株式市場が暴落した後の残酷な数カ月ではなく、その前の浮かれた期間のことだ。
アメリカの株価はここ10年上昇し続けており、S&P500に含まれている株式は17兆ドルほど時価総額が増えた。金持ちはニューヨークのフォーシーズンズ・ホテルのTyバーで1210ドルのカクテルを飲み、ロールス・ロイスの32万5000ドルのSUV「カリナン」に乗り、ロサンゼルスのアーロン・スペリング(テレビプロデューサー)邸のような豪邸を1億ドル単位の値段で買っていく(アーロン・スペリング邸の市場価格は現在1億7500万ドルで、5年前の倍以上になっている)。
いまはバブルの最中なのか?
はたしてこの状況は続くのだろうか。それは誰にもわからない。しかし、専門家だけではなく確定拠出年金を運用する一般のアメリカ人も、1929年、あるいは1987年、2000年、2008年の状況が再来しているのではないかと、ここ数カ月で不安を感じるようになっている。
株式は今年10月に最高値を付けた後値下がりし、年間を通して見ると1.5%下落している。ヘッジファンドにとっては、2008年の金融危機以降で最悪の年となっている。家計債務は史上最大の13兆5000億ドルに達しており、リーマンショック前に記録した最大債務額を8370億ドル上回った。
ここ10年の低金利が影響して株価や不動産価格が大幅に上昇したため、金融界では不安な未来を予言する人も珍しくなくなった。億万長者の投資家、ポール・チューダー・ジョーンズは最近、「世界負債バブル」が起こっている可能性が高いと述べ、有力ファンド・マネジャーでコメンテーターのジム・ロジャーズは、「私の生涯で最大となる」暴落が起こるだろうと警告する(彼は現在76歳だ)。
悲観論者が「エブリシング・バブル(あらゆるものがバブル)」と呼ぶようなバブルをはじけさせる針となるのは何だろうか。何でも針になりうるし、何も針にはならないかもしれない。時間が経過するまで、エブリシング・バブルが本当にバブルなのかもわからない。しかし、最後の金融危機からわずか10年しか経っていない今、よく言われている悲観的なシナリオを5つ紹介しよう。
第5位:学資ローン
2008年の金融危機を引き起こしたのは、そもそも巨額の住宅ローンを借りるべきではなかった「大勢の人々」だった。彼らはそのローンを返せなくなったのだ。