2019年「金融危機」を招きかねない理由5つ 「エブリシング・バブル」ははじけるか

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連邦準備銀行が「量的緩和」の名のもとに紙幣を印刷して、前回の金融危機から国民を救い出そうとし始めてから、お金は簡単に手に入るものとなった。与信枠があるアメリカ人なら誰でも、「金持ち」のふりができるように思われた。

あらゆる種類のぜいたく品、たとえば不動産や(貸出基準は厳しいが)、高級腕時計、高性能なゲーム機などをどんどん購入するのだ。企業も負債をため込んでおり、市場アナリストの中には、それが最大の脅威だとする人もいる。

ブレクジットではなく、イタレクジット

問題は、このシステム全体が逆回りし始めているということだ。FRBは金利を引き上げ、市場をおびえさせて、インフレやほかの問題を回避しようとしている。これは遅すぎた財政健全化だろうか、あるいは、パーティーが始まろうとしたときに資金を取り上げようとしているようなものだろうか。

少なくともトランプ大統領は、これがひどい結果を招くと考えて、こうツイートする。「借金の返済期限が来るのに、金利を上げるって、本気か?」

第2位:イタレグジット

英国が2016年にEU(欧州連合)からの離脱を決めて以来、次はどの国かと噂されてきた。フランスのナショナリストがけしかける「フレグジット」か、オランダの反移民極右勢力が推進する「ネグジット」か。最近、とくに懸念されているのがイタリアだ。

同国のポピュリスト政党が、ユーロやEUそのものから離脱すると脅し、「イタレグジット」をふれ回っている。彼らは、財政赤字支出や移民の問題、そのほか票につながるさまざまことをめぐって、欧州の近隣諸国と争う。イタレグジットの懸念は、この1年グローバル市場に波紋を投げかけてきた。イタリアのポピュリズム政党は、遠回しな脅迫を続けており、公式な場で行われるイタレグジットの否定も100%確実なものではない。

イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は予算案をめぐるEUとの議論の後で、記者団に対して、「よく聞いてほしい。イタリアが『イタレグジット』をすることはない。決して欧州からも、ユーロからも離れることはない」と述べた。しかし、アメリカの政治家が「よく聞いてほしい(read my lips)」という場合、その約束は守られない。

第1位:全米で反億万長者運動が起こる

そんな可能性もある、とちょっと思った。

(執筆:Alex Williams、翻訳:東方雅美)
© 2018 New York Times News Service

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