青函トンネル、ついに新幹線が「速度向上」へ 春のダイヤ改正で時速160キロ運転が実現へ

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レールやケーブル、電車線(架線関係)などの改修や更新の費用、検査・修繕費は全般的にJR北海道が負担している。

基本的に貨物列車しか使わない三線軌の在来線専用レールや駅・信号場構内の待避設備、在来線専用区間の設備もJR北海道の担当であり、JR貨物から支払われる線路使用料の算定基準に含まれない。地震や火災などの防災システム、災害対応を含む換気や排水のシステム、変電設備の大規模な改修、設備更新は、青函トンネル改修事業(鉄道防災事業)として国が3分の2を補助しているが、3分の1はJR北海道の負担である。

また、日常的な検査・修繕は全面的にJR北海道の負担とされている。本体の老朽化が見られてきたトンネル本体の検査・修繕や改修の費用負担については、額の規模が異なるため国、鉄道・運輸機構、JRで検討されているが、JR北海道では日常的な負担が重いとしている。

高速化に向けレール削正作業も強化

現在のところ青函トンネルを行き来する唯一の在来線旅客列車がJR東日本の「四季島」。木古内合流部から入って青函トンネルに向う(写真:久保田 敦)

青函トンネルの大きな課題の一つである速度問題に対しては、まずは最初のステップとして2018年度末に現行の最高速度時速140kmから160km(貨物列車は時速100km)への引き上げが予定されており、2018年9月に検証のため青函トンネル内での高速走行試験や貨物列車とのすれ違い試験が実施された。また、高速走行に向けて共用走行区間におけるレール削正も行われている。

青函トンネル内は湿潤な環境で長い勾配も存在するためか、新幹線開業前からレール頭頂面の波状摩耗が多く発生する傾向があった。これが発生すると、閉じられたトンネルの中では騒音が大きくなるばかりか、振動により締結装置の緩み、破損につながる可能性や、レール自体の疲労を進行させる懸念が高まる。その一方、青函トンネルは過酷な環境のためトンネル内に保守基地が設けられず(竜飛と吉岡に保守用車の待避のための横取基地のみ)距離が長いところに保守間合が短いため大型のレール削正車を最奥部まで入れると時間の制約が大きく、給油等の関係から横取基地に留置し続けることもできない。したがって、小さなレール削正機で施工しなければならない部分もあった。

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