「田舎の長男」との結婚に絶望した彼女の告白

婚約したが解消、平凡を望んだ末に見た地獄

「出会ってそんなに経ってないのに、『君と結婚したい』って猛烈アタックしてきたんですよ。『なんて情熱的な男なの!』って、思わずポーッとなってしまいました。離婚した直後だったし、私、まだ女として終わってないんだと感じて、舞い上がってしまったんですよね。『とにかく早く君と結婚したい、親にも君を早く紹介したいんだ』って言ってくれて、心が動いてしまったんです。そこからとんとん拍子に婚約して、彼の実家にあいさつに行きました。そこは、映画に出てくるような田んぼしかない本当のド田舎でした」

早く男の子を生んで、将来は私たちの面倒を

山間部に位置する隆一の実家は、大自然とのどかな田園風景が広がっていた。澄んだ空気に、全身に力がみなぎるのを感じた。

隆一の実家に足を運ぶと、両親は手作りの郷土料理をテーブルいっぱいに並べて、百合子さんをもてなしてくれた。なんて良い人たちだろう。こんな田舎で大好きな人と一生を送る人生もすてきかもしれない、百合子さんはそう感じた。

隆一の両親が、突然同居話を持ち出すまでは――。

「彼のお母さんから、いきなり『東京の人だから、同居はなじめないかもしれないでしょ。だから、こっちが百歩譲って二世帯住宅にうちを作り替える』という話が始まったんです。頭が混乱しましたね。だって、さっき会ったばかりなんですよ。でもそんなことなんてお構いなしに、『百合子さんも早く男の子を生んでもらって、私たちの面倒を見てもらわないと』って言うんです。

『いや、同居とか二世帯住宅とか、ちょっと待ってください』と言ったら、彼が『母さんの言うとおりだよ~』ってコロッと手のひらを返したんです。私、この村に軟禁されて、一生出られなくなるんじゃないかという恐怖を感じました』

後ほど隆一に問いただすと、「この村では、『私たちの面倒を見てね』という言葉は、君を受け入れたという意味なんだよ。よかったね」と笑っている。それって重荷だし、怖いと百合子さんは背筋が凍るのを感じた。

まだ婚約段階なのにもかかわらず、嫁が来るという噂はあっという間に村中に広まり、長老たちが続々と隆一の家に集まってきた。長老たちは、百合子の顔をいやらしそうな目でなめ回すように見ると、「結婚式は村のしきたりに沿った式にしてもらう」と百合子さんに告げた。すぐに村の公民館で長老たちの会議が始まり、百合子さんはドン引きしたが何も言えなかった。

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