「田舎の長男」との結婚に絶望した彼女の告白 婚約したが解消、平凡を望んだ末に見た地獄

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「たかが買い物ですよ。女1人で買い物も許されないんです。同じ日本でも、文化が違うだけでこれだけわかり合えないのかと思いましたね。やってられないと思いました」

もう限界だと百合子さんは、隆一との婚約破棄を決意。それを隆一に告げると、携帯の留守電には毎日何十件も「ふざけんじゃねーよ! ぶっころすぞ!」と罵りの電話が入るようになった。恐怖を感じた百合子さんは、弁護士に相談し、命からがら東京へと逃げ出した。結果、隆一とは婚約破棄となった。

恐怖の村から脱出し、東京に帰還

恐怖の村から脱出した百合子さんは東京に戻り、教育関係の仕事を見つけ、そこで知り合った会社員の男性と再婚し、長男を出産。現在は地方出張もこなすなど、バリキャリとして、多忙な日々を送っている。今の夫は働く百合子さんを応援し、子育てにも積極的だ。

「自分の両親には、『あの男とだけは、結婚しなくてよかったね』と言われます。今もあの村に住んでいたら、きっと今のように私が働くことなんか、絶対認めてもらえなかったはずです。ましてや今の仕事のように、遠方に出張とかは無理だったでしょうね。よくテレビで、都会の女性と田舎の男のお見合いの番組とかやってるじゃないですか。あれを見ると、『本当に大丈夫? 私みたいにブラックホールに落ちないでね』って言いたくなっちゃうんです」

人並みの結婚を目指していただけなのに、いつしか思わぬ泥沼にハマりかけ、危機一髪のところで、なんとかはい上がった百合子さん。百合子さんがこれらの経験を経て得た教訓は、一時の情熱や恋愛感情で突っ走らず、結婚相手の周辺に目を向けることの大切さだ。相手の家族だけでなく、相手を取り巻く環境を今一度よく見渡してほしい、と百合子さんは最後に力強いまなざしで語ってくれた。

菅野 久美子 ノンフィクション作家

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かんの・くみこ / Kumiko Kanno

1982年、宮崎県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。出版社で編集者を経て、2005年よりフリーライターに。単著に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)、『孤独死大国』(双葉社)、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(KADOKAWA)『母を捨てる』(プレジデント社)など。

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