スイス人が複数言語を早期に習得できる理由

4つの公用語が存在、国の方針も後押し

スイスでは5歳にして3カ国語を操る子どももいるほど、マルチリンガルが大勢いる(写真:vgajic/iSrtock)
スイスでは4つの公用語のうち少なくとも2つを使いこなせるよう国が方針を示している。春香クリスティーンさんのようなマルチリンガルがごろごろいる国の秘密とは。

「日本に旅行したいけれど、英語ができない人が多いと聞くから少し不安だ」。筆者の周りのスイス人の声だ。21世紀になっても「英語が苦手な日本人」というステレオタイプはあまり変わっていないようだ。そんな日本人から見ると、スイスのチューリヒ(ドイツ語圏)育ちで日本語、ドイツ語、英語、フランス語を使えるマルチリンガルのタレント、春香クリスティーンさんは雲の上の存在のように感じるはず。しかし、実はスイスにはそんなマルチリンガルがごろごろいる。

マルチリンガルだらけのスイス

つい先日も、飛行機で臨席した見知らぬドイツ人が「スイスは何カ国語も話せる人がいっぱいですよね」と言っていた。ヨーロッパでも、スイス人やスイスに住む外国人の語学力の高さは有名なのだ。スイスに長年住むある日本人も「キオスクとか郵便局とか、みんな3カ国語くらいは普通に話しますね。スイス人の一般的な語学力は、たぶん日本人には想像しにくいと思います」と言う。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら

スイスには4つの言語圏がある。東のドイツ語、西のフランス語、南のイタリア語、そしてさらに東のロマンシュ語で、4つとも国語(公用語)だ。どこに住んでいても、この4つのうち少なくとも2つは使いこなせるようになろうというのが国の方針だ。

マルチリンガルの例を挙げると切りがないが、たとえば、以前、筆者の隣人に、5歳にして3カ国語を操っていたF君という子どもがいた。F君のお父さんもマルチリンガルでフランス語とドイツ語を母語とする両親の元で育ち、F君のお母さんはロシア人(ロシア語とドイツ語のバイリンガルで英語を学習中)だ。夫婦間では基本的にロシア語で会話している。F君はお父さんや祖父とはフランス語で会話し、お母さんとはロシア語で会話している。生活の場はドイツ語圏で、F君は友だちや祖母とはドイツ語を使う。小学校から英語の授業があるから、いまごろはきっと4カ国語を使いこなしているに違いない。

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