日本人が「フェルメールの価値」を語れない訳

「感性」に頼らない美術鑑賞の秘訣とは

こう話をすると、「巨匠の個人展などで、鑑賞作品を絞るなんて無理!」と思うことだろう。確かに著名な作家であれば、ぜひともできる限りの点数を観たくなるもの。だが、知っておくべきなのは「巨匠でも、名作と呼べるのは少ない」という事実。

どんな作家でも、1人の人間。初期のまだ作風が固まっていない発展期、作家として脂がのっている全盛期、行き詰まりを感じる停滞期など、さまざまな背景がある。もちろん巨匠と呼ばれる作家であれば、良い出来のものが多いが、西洋美術に不慣れな人はそのすべてを観る必要はない。一般に「名作」と呼ばれるものや「目玉作品」を中心に楽しむのが、まずは鑑賞のトレーニングには大いに有効だろう。

抽象画もわかるようになる

「抽象画は、何が描いてあるのかさっぱり」という悩みもあるだろう。感性に頼らない知識ベースの鑑賞方法なら、抽象画もわかりやすくなる。

抽象画のほとんどは、何か具体的な物体を描いているわけではない。西洋美術には、19世紀末頃から、人間の内面や思想、単純な線の美しさなどを追求する動きが表れた。それらの多くは、その時代の風潮や多数派の芸術運動を批判する先進的なもの。必ずしも、風景や人物といった具体的なモチーフを描いてはいない。

つまり、抽象画を理解するには、描かれた時代背景や芸術史の流れを軽くでも把握しておくことがとても重要になる。感性だけで抽象画を理解しようとすると、どうしてもわからなくなってしまうのは、このためだ。

知識をベースとした西洋美術鑑賞は、決して難しいものではない。むしろ、少しの情報を覚えておくだけで、多くの作品を語れるようになる。この鑑賞法で、美術作品・美術展をこれまでとは異なる角度から楽しんでみてはいかがだろうか。

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