日本人が「フェルメールの価値」を語れない訳 「感性」に頼らない美術鑑賞の秘訣とは

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各ホームページでは、目玉となる作品たちとともに、必ず美術展の企画意図と作家や作品についての簡潔な解説が掲載されている。それらを軽く頭に入れておこう。もちろん、ホームページにとどまらず、ネット上の各作品評を見てもいいし、関連雑誌・書籍を読むのもいい。

それらに軽く目を通しているかいないかだけでも、実際に作品を観たときの情報量は大きく差がつくはずだ。

疲れる人は見方がわかっていない

美術展を訪れると、最初の展示室がいちばん混んでいて、進むにつれてすいているというのはよくある現象だ。また、流れに沿って順序よく鑑賞する人が大多数だ。

しかし、美術鑑賞に慣れている人は最後まで集中できるが、不慣れな人は疲れてしまうだけ。名作にたどり着く頃にはヘトヘト、ということもあるだろう。

そこで美術展に行く前に、やはりチラシやホームページで「目玉作品」を数点押さよう。そこから必ず観るべきものを5点前後に絞るのだ。会場に入ったら、すぐにそれらの作品を観にいこう。なるべく頭がフレッシュな状態で作品を観るためだ。事前知識の確認だけでなく、新たな発見や自分なりの解釈をする余裕ができる。可能なら、1つの作品につき、5~10分ほどじっくりと観られるとベストだ。

「目玉作品」は、キューレーターたちが、所蔵美術館との厳しい交渉の末に展示にこぎつけたものばかり。それを観るだけでも、チケット代はお釣りがくると思っていい。

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