中央線・西武・東武、まるで異なる「沿線地形」

同じ起点でも「上る」池袋線と「下がる」東上線

東武東上線の地形は、これまで述べた路線とはまったく異なっている。都心を離れるに従って標高が高くなっていくことがない。川越近くまで進むとかえって標高が低くなってしまうのだ。

図3 東武東上線池袋―川越市間の断面図(図表:『地形と地理で解ける!東京の秘密33 多摩・武蔵野編』より加工)

これは同線が武蔵野台地の北端近くを進むことによる。武蔵野台地の北部は標高があまり高くないためだ。

郊外のほうが低い東武東上線

池袋から朝霞まで、途中石神井川、白子川の谷に出合うが、それ以外はほぼ平坦で、池袋と朝霞の標高は共に約30mでほとんど同じである。

黒目川を越え朝霞台、志木に至ると標高は一段低くなり、標高20m前後の台地を走っていく。上福岡の先で新河岸川支流の不老川などの標高10mほどの低地に出て、そこから少し標高を上げて川越へ至る。

『地形と地理で解ける!東京の秘密33 多摩・武蔵野編』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

東武東上線は、川越街道に並行している区間が長い。また北東側3~5km先に並行して荒川と新河岸川が流れている。

川越は、江戸時代川越藩の城下町として栄え、「小江戸」の別名をもつ。昭和の初期頃までは埼玉県下第一の人口を擁する都市だった(現在は県内3番目)。

江戸時代、川越と江戸の往来には新河岸川の舟運が盛んに利用されていた。東武東上線(開業時は東上鉄道)は、川越街道の荷馬車などや新河岸川舟運から近代的鉄道輸送へと発展させることを目指して敷設された。同線の開通などにより、舟運は廃れていった。

東武東上線の断面図は、武蔵野台地の北端の特徴を示すとともに、舟運のライバルとして登場した同線の特徴を表しているといえる。

本稿は、内田宗治著『地形と地理で解ける!東京の秘密33 多摩・武蔵野編』(2018年11月 実業之日本社刊)の「第四章 多摩の鉄道と地形編」の一部をダイジェストして部分的に加筆したものです(図1~3は同書掲載の図をカラー加工)。
参考文献:高嶋修一「西武鉄道のあゆみ」『鉄道ピクトリアル』2002年4月臨時増刊号(第52巻第4号)
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