終電ちゃん×終電の神様、作者が語るウラ話 ストーリー作りの秘訣などエピソード満載

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『終電の神様』と『終電ちゃん』。終電を題材とした小説と漫画の作者による「終電対談」が実現した(撮影:尾形文繁)
この電車を逃すと家に帰れない――。終電にまつわる思い出は誰でも1つや2つは持っているだろう。そんなユニークな「秘話」を募集した「終電エピソード大賞」の結果が『モーニング』(講談社)12月6日(木)発売号で発表された。審査員を務めたのは『終電の神様』(実業之日本社文庫)で第9回「エキナカ書店大賞」を受賞した阿川大樹氏と、中央線、山手線などの最終電車を舞台とする人間ドラマ『終電ちゃん』(講談社刊『モーニング』で月イチ連載中)の藤本正二氏。大賞作品は阿川氏が原作、藤本氏が作画を担当し、終電ちゃんのスピンオフ作品として漫画化、『モーニング』2019年1月17日(木)発売号に掲載される予定だ。長時間にわたる選考作業に続き、両氏の対談が行われた。なぜ終電がテーマなのか、どうやってストーリーを考えているのか、ファンならずとも興味津々の内容をぜひご堪能いただきたい。

阿川大樹氏(以下、阿川):「終電ちゃん」という名前は知っていて、どんな話だろうと思っていました。

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読んでみたら現実にはいないないものが登場して、乗客と話をしたり、物理的に背中を押したり。小説では太刀打ちできません。藤本さんは、どのようにしてこの話を思いついたのですか。

藤本正二氏(以下、藤本):「終電が来た」「終電が行っちゃった」とよく言いますね。終電が擬人化されているように僕には聞こえたんです。そこで、キャラクターにできないかと考えました。

終電にはさまざまなタイプの人が乗っている

終電にまつわるエピソードについて熱く語る対談中の阿川大樹氏(右)と藤本正二氏(左)(撮影:尾形文繁)

阿川:電車にはいろいろな人がいろいろな目的で乗っています。そこで、小説のトレーニングというか、半ば習慣化しているものなのですが、電車内である人を見たら、その人は何歳でどこの生まれで家族はどんな構成で、といったことをいつも考えます。その人の服装を見て、自分の中でつじつまの合う妄想ができれば、その人の存在がすごくリアルなものになる。

藤本:僕はサラリーマンなので、終電にはよく乗るんです。そのとき、終電の乗客の間に連帯感を感じるのですが、阿川さんはいかがですか。

阿川:連帯感ですか。感じますね。逆に、僕が仕事で遅くなってしらふで乗っているときに、酔っ払っている人が乗ってくると、連帯感ではなく反感を持つこともあります(笑)。いろいろなタイプの人が同居している状態は確かに面白い。

藤本:ですよね。その状況の中心に終電ちゃんというキャラクターがいれば、マンガとしてまとまりそうだと考えて、ちょっと描いてみたというわけです。

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