終電ちゃん×終電の神様、作者が語るウラ話 ストーリー作りの秘訣などエピソード満載

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――阿川さんは元サラリーマン、藤本さんは現役のサラリーマンですが、その経験はストーリー作りにどのような影響を与えているのでしょうか?

ベストセラー『終電の神様』の続編、『終電の神様 始発のアフターファイブ』(実業之日本社文庫)。画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

阿川:すごく役立っていますよ。朝起きて会社に行って、面白い仕事は一生懸命やるし、面白くない仕事もやらなきゃいけない。上司にしかられ、部下にイライラして、そして家に帰って寝て、また明日がやってくる。僕にとって、絶対必要だった経験です。

藤本:読者さんの気持ちを想像しやすいというのは強みです。今は、平日は会社務めで、土日にマンガを描いています。

阿川:仕事が面白かったし好きだったのですが、仕事自体でそれこそ終電に乗れない状態だったので、これは仕事をやめないと書けないと思いました。

藤本:僕も本当は連載を始める前に会社をやめるつもりだったんです。でもやめる前に連載がいきなり決まって、会社をやめてからでは間に合わないので、両方やる、ということになりました。

阿川:岡山駅にも終電ちゃんが出てきます。上野や新宿なら終電のイメージがわかりますが、岡山にもたくさんの路線があって、終電をめぐっていろんなことが起きているというのは、このマンガを読んで初めて知りました。すごく新鮮な知識で面白いです。実際に取材に行かれたのですか。

藤本:はい。取材に行ってみないとわからないことはありますね。

ドキドキしながら終電に乗っている

阿川:私は終電に乗るだけでなく、オートバイで先回りして、終電が着く前に駅に着いて、終電からどんな人が降りてくるか改札の前で待っていたことがあります。歩いて帰った人、親が迎えに来た人。こういうものは実際に自分で確かめないとわからない。終電後の真っ暗な中でいちばん明るく見えるのが自動販売機だったりとか。実際に見たことで、自動販売機をキーにした物語を作ることができました。

『終電ちゃん』は1~5巻まで単行本化。6巻は2019年1月23日に発売予定。画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

藤本:終電に何人くらい乗っていて、駅の周囲にどのくらい明かりがついているかはネットで検索しても出てきませんよね。

阿川:昼間の様子はグーグルストリートビューを使えば、行かなくても結構わかるのですが、夜の様子や町のにおいみたいなものは、行ってみないとわかりませんからね。

藤本:取材では、「このまま終電に乗って終着駅に着いても何もなかったらどうしよう」と、いつもドキドキしながら乗っているんですが、終着駅にタクシーが待っているとすごくうれしいです。途中駅で寝過ごして終着駅にまで来てしまった人を乗せるために待っているんです。

阿川:終着駅にタクシーがたくさんとまっているということ自体、終電のもう1つの側面ですね。私も終電の時間帯に首都圏の終着駅の近くでタクシーを拾おうと思って、やってきたタクシーに手を上げてもとまってくれなかったことがある。僕を乗せても近距離かもしれず、駅に行けば遠距離かもしれないお客さんがたくさん降りてきますからね。でも、こういう体験をすると、逆に「ここに来てよかった。題材に使える」と思います(笑)。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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