マツダとボルボが高評価を総なめにする理由 一度クルマづくりをリセットしたのが大きい

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ボルボも新体制下でプラットフォームを一新した。まず2014年に「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」を現行「XC90」とともに登場させると、「S90」「V90」「XC60」「S60」「V60」へ立て続けに採用。今回COTYを受賞したXC40には小型車用の「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)」を与えた。こちらはボルボと吉利が共同で設立した新ブランド「Lynk & Co(リンク・アンド・コー)」にも使われる。

ボルボの現行XC90(筆者撮影)

デザインについては2013年の「コンセプト・クーペ」を皮切りに「コンセプト・XCクーペ」「コンセプト・エステート」を立て続けに発表。SPAを先行採用していたこの3台のコンセプトカーが、S90/XC90/V90のデザインを示唆するものだった。さらに2016年にはSUVの「コンセプト40.1」とセダンの「コンセプト40.2」を発表。説明するまでもなく前者はXC40のプロトタイプだった。

共用ではなくなったことで自由な発想が可能に

両者の新世代プラットフォームは、前輪駆動でありながらフロントタイヤとキャビンが離れていることも共通している。マツダではその理由として、エンジンの吸排気系の効率を高められること、理想的なドライビングポジションを取れることを挙げているが、流麗なプロポーションを描けることも理由にあったはずだ。

一方のボルボはコンセプト・クーペのデザインについて、プラットフォームがほかのブランドとの共用ではなくなったことで、自由な発想が可能になったと表明しており、スカンジナビアのモダンなライフスタイルやデザインと、1960年代のボルボの象徴的なデザイン要素を融合することができたとしている。

もう1つ、プラットフォームの一新と同時にエンジンを直列4気筒以下に絞ったことも、新世代ボルボとマツダに共通している。欧州を中心とするダウンサイジングのトレンドを受けたとも言えるが、マツダはV型6気筒、ボルボは直列6気筒という手持ちの多気筒型の高性能エンジンをラインナップから落とし、4気筒ターボエンジンのチューニングを変えることで対処した。

スポーツモデルには6気筒以上のエンジンを引き続き用意するドイツのプレミアムブランドとは一線を画した形になったが、この決断もまた理想的なデザインを生み出す要因になったはずだ。

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