移民を「島流し」するデンマーク政府の神経 島と本土をつなぐフェリーの名は「ウイルス」
難民申請を却下されたものの母国への送還ができない多くの外国人は、迫害のおそれがあったり、母国から受け入れを拒否されている人々だ。
2カ所ある送還センターにいる数百人がデンマークからの退去を拒んでおり、法的に滞在が認められない外国人の排除を公約している政府の目の上のこぶとなっている。
今年の夏には「ブルカ禁止法」が施行
徐々に悪化していく生活状況にもかかわらず10年以上、退去を拒み続けている人もいる。人権団体「ヘルシンキ市民会議」に所属する元刑務所長が送還センターのうち1カ所について行った調査によれば、収容者の置かれている状況は一部の刑務所と同じかそれより悪いという。
ラース・ルッケ・ラスムセン首相は11月に、難民受け入れの目的はデンマーク社会への同化ではなく、あくまでも出身国に帰れる日まで世話をすることだとの政府の立場を明らかにしている。
「実際に定着してしまった家族に帰国しろと言うのは容易ではない」と、首相は与党・自由党の会合で述べた。「だがそれは道義的には正しいことだ。難民の移民化は止めるべきだ」。
デンマークでは「非デンマーク的」と一部の人々が見なすイスラム系の衣類について議論があり、今年夏には顔を覆う布の着用を禁じたいわゆる「ブルカ禁止法」が施行された。
また、市民権の取得を希望する移民に帰化の儀式の一環として握手をすることを義務づける法案が年内にも可決される見込みだ。イスラム教徒の中には、異性との握手に強い抵抗感を持つ人もいる。
政府は握手について「デンマークの基本的な価値観」だと強弁している。
(執筆:Martin Selsoe Sorensen記者、翻訳:村井裕美)
©2018 New York Times News Service
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