1年で4倍! 急増する“和僑”って何だ? タイ・バンコクに日本人1000人が集結
「香港は会社を設立しやすいと言われているが、実際に継続していくことはとても難しい。9割が撤退していく。若者が夢を語ることにとどまらず、実際に成功していくために何か手伝えることはないか……。そう考えたときに、華僑に対抗できる横のつながり、日本人同士のネットワークの必要性を感じた」(筒井さん)
毎月1回の勉強会を3回ほど重ねたときに、名前をつけようという話になった。華人(中国人)の“華僑”に対抗して、“日僑”という名前も候補にあったが、協調するという意味の“和”も込めて、和人(日本人)の“和僑”としたという。
「10年前は、正直、ここまで大きな組織になるとは思っていなかった。でも、これからは日本人もどんどん海外に出て行く時代。最初の5年は香港だけで活動していたが、ここ5年でアジア中心にどんどん広がっていった。
『僕の国(都市)でも作っていいですか?』と声をかけてくる人が現れ、自然発生的にできたのが現在の和僑会。欧米などほかの国の起業家からも声がかかっているし、これからの5年、10年はアジアから世界中に広がっていくはずだ」
現在、和僑会がある都市は、東南アジアに7つ(バンコク、プノンペン、ヤンゴン、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、ジョホールバル)、中国に7つ(香港、深セン、広州、東莞、上海、北京、大連)。そして、日本にも10あるという(北海道、東北、東京、京浜、多摩、名古屋、関西、岡山、九州、沖縄)。
フィリピンのセブでSkype英会話の会社を経営する藤岡頼光さんは「参加したのは今回が初めて。10人集まったら活動できると聞いたので、戻ったら声をかけてみようかと思っている」と話す。海外で起業する日本人が増えた今、お互いに助け合える“和僑会”が自然と広がっていくのは間違いない。
国境を越えた“和僑”のつながり
この和僑会、驚くことにすべてボランティアで運営されている。起業家たちが自主的に活動するというのが和僑会の精神だというのだ。
「2週間前から本業の仕事は何もしていません。しかも、ここ1週間はほとんど寝ていないのです」。
そう話すのは、運営委員の長谷川卓生さん。26歳のときにタイへ来て以来、東南アジアを留学先にするため、日本とタイの交換留学ビジネスに取り組んで来た。「自分が来た15年前には、まだ“和僑”という言葉もなかったし、和僑会もなかった。ただ、お世話になった日本人は今の和僑会にいる人が多かったと思います。だから今回の運営にも力が入っています」。
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