「大黒柱」として稼ぎ続ける男性たちの本音

働けない妻の背景にある、辞められない夫

堀さんは「職場で『共働きじゃないと家計が大変じゃない?』と言われることはあります。(自分1人の稼ぎで一家を養う)大黒柱プレッシャーは、ないといえばうそになる。でも、それよりも今の時代、専業主婦1人で子育てを抱えるのって、逆に大変なんだなと……。想像を軽く超えていました」と話す。何が大変なのか。

「平日は、お母さんが自分1人でコントロールできる時間がほぼゼロになってしまう。感覚的には育児に1人、家事に1人必要なぐらい子どもに手がかかります。都内で地縁のない土地に引っ越して住んでいるとコミュニティもなく、家事代行などの有料サービスなどは妻は心情的に使いづらいらしく、専業主婦の自分がなんでも抱えようとしてしまっているみたい」

堀さん自身は、掃除などは数日しなくてもいいとも思うが、「奥さんも専業主婦だからある程度家はしっかりしていたいという意識が強そう」という。

共働きのほうが専業主婦家庭よりラクだと言うつもりはない。共働きでも夫は独身時代から変わらず長時間労働で、妻が仕事と育児の両方を担っててんてこまいになっているという事例は、数多く取材してきた。また、共働きでイクメンになることを求められ、仕事と家庭の板挟みになる男性も多い。

とはいえ、とりわけ0~2歳児を抱えて家の中でずっと過ごす専業主婦のストレスはやはりとても大きい。

主婦1人きりの過酷な子育て

堀さんは次のように語る。

「妻も仕事をしていて保育園に預けられれば、少なくとも母親1人でコントロールできる時間は移動時間とかお昼とか、持てると思うんですよね。もちろん、共働きをしながらの育児で、子どもを十分見てあげられるかという問題はあるとは思うんですけど。『専業主婦』か『働くか』というより、リフレッシュする余裕を持ちながら子育てできる環境があったほうがいいだろうなと思います」

乳幼児を気軽に預けられる場所がなく、しかも子どもが2人以上になったり、子どもの特性などにより育てにくさが加わると、専業主婦の妻たちはこちらが心配になってしまうほど過酷な状況になる。

法曹関係で働く須藤さん(30代半ば、仮名)の妻は、第1子から第2子と続けて4年近くに及ぶ育休中だ。夫の付き添いで海外から戻ったたばかりで保育園に入れることが難しかったうえ、第1子にやや発達の遅れが見られたため、幼稚園の延長保育の利用を断られた。手間がかかる分、かわいさもあり、「家で見てあげる」ことがいちばんと判断、妻はこのまま専業主婦になる可能性が高いという。

「自分の仕事がそこまでで忙しくないときは午後8時くらいに家に帰って、子どもと一緒に寝て、朝3時に起きて仕事して、下の子が起きたら自分が下の子に朝ご飯をあげるなどして、妻の負担を減らそうとしていたのですが、案件が立て込んでいるときは難しい。ここ2週間は、9時出勤午前3時退社が続いていて、そうもいかず……」

午前3時まで働いていることについて「仕事の進め方には自己決定権があるのでそう負担には感じない」と話す須藤さんだが、「上の子が特性として非常に手がかかり、下の子もイヤイヤ期で夜泣きも激しい。子育ては自分のペースでできることはほとんどないので精神的には妻のほうがつらそうだなと思います」。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。