「孤独死保険」は多死社会の切り札となるか 2030年の推計死亡者数「年160万人」の衝撃
時代の変化を的確にとらえて、ビジネスに仕上げるのが得意な損害保険業界において、じわじわと注目されてきたのが「孤独死保険」だ。
少子高齢化時代、世の中では「人生100年時代」とボジティブな側面も強調されるが、その最も暗い側面はほとんど語られてこなかった。死亡者数が毎年増えていく「多死社会」という現実だ。
日本少額短期保険協会が2018年3月に出した「孤独死の現状レポート」によると、日本の死者数は2015年で年間129万人だが、2020年には141万人、2030年には160万人、ピークの2040年には168万人と推計されている(推計は国立社会保障・人口問題研究所、2017年出生中位・死亡中位推計)。
孤独死するお年寄りが増えていく
死者数の増加に連動して将来、増加しそうなのが、独り暮らし高齢者の孤独死だ。すでにその兆候ははっきりと現れている。「東京都23区内における独り暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数」は2011年から増加傾向で、2015年には3000人を超えた。23区内だけで1日当たり8.5人もの人が1人きりで亡くなっていることになる。
市場規模や商品の性格から見て、保険会社にとっては大々的に告知するような商品ではないのだろうが、少額短期保険会社に続いて、大手損保も相次いで商品を投入、販売競争に火がつきつつある。
孤独死保険とは、主に賃貸住宅のオーナー向け保険である。
居住者が孤独死を遂げたとき、オーナーには数多くの困り事が発生する。当然だが、事故物件の家賃がまずストップする。清掃や遺品整理、火葬の手配など、急いで手を打たなければならないことが次々と出てくる。そのうち、隣室の住人も「部屋から出て行きたい」「値下げしてくれ」などと言い出すだろう。
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