「孤独死保険」は多死社会の切り札となるか 2030年の推計死亡者数「年160万人」の衝撃

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良心的なオーナーなら、身銭を切って対応するしかない。逆に昔は事故が起きた物件にオーナーや不動産関係者などの「身内」に1回住んでもらうことで、義務づけられている事故物件の告知を行わないという「裏技」もあったらしい。

だが、さすがにコンプライアンスの時代では、そうした手段に出るオーナーもいなくなった。その分、保険に対するニーズが強まったのも確かなようだ。

孤独死で起きる問題を「原状回復」と「家賃収入」の2つに分けて、保険金で補償するのが、孤独死保険のおおまかな内容だ。2011年に先陣を切って、この商品を発売したのは損害保険会社ではなく、少額短期保険会社のアイアル少額短期保険だった。

少額短期保険とは何か

少額短期保険とは、2006年の保険業法改正で生まれた。保険金額が1000万円以下と少額で、保険期間も1~2年と短期であるため、「ミニ保険」と呼ばれることもある。

アイアル少短の商品「無縁社会のお守り」(賃貸住宅管理費用保険)は賃貸住宅のオーナー向けの商品で、販売実績は2万5000戸に達している。商品開発に着手したのは2010年ごろ。同社の安藤克行社長が当時をこう振り返る。

「孤独死、自殺、夜逃げ……。突然、入居者がいなくなったり、亡くなったりする事例が増えていた。しかし、オーナーが加入できる保険がない。調べてみると、オーナーはみんな同じような懸念を持っている。高齢化社会はわれわれ(オーナー)にとっては怖い話だね、と心配していた」

保険料は月々300円(1戸当たり)で、オーナーが所有するすべての部屋の加入が必要だ。孤独死や自殺などの死亡事故でオーナーが負担する原状回復費用を最大100万円、家賃損失を最長12カ月、200万円を限度に補償する。

「販売は順調に伸びてきた。以前は不動産会社経由での申し込みが多かったが、最近はメディアの記事や広告を見て、直接電話で申し込んでくるオーナーさんが多い」(安藤社長)。最近、部屋の電気使用量から「異常」を推測し、オーナーなど数人にメールで知らせるプランも発売した。

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