「孤独死保険」は多死社会の切り札となるか 2030年の推計死亡者数「年160万人」の衝撃

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一方、火災保険の特約として販売しているのが大手損保の商品だ。賃貸住宅内での死亡事故(孤独死、自殺、犯罪死など)の発生で、オーナーが被る家賃の損失、清掃・遺品整理費、葬祭費などをすべてカバーする。

現状回復は100万円限度、家賃収入補償は家賃月額(最長12カ月程度)というのが、ほぼ共通する内容だ。家賃補償では、事故発生個室だけでなく、左右、階下など隣室も対象となることが多い。

損保各社も孤独死に対応した保険商品を相次いで投入している(撮影:今井康一)

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は孤独死保険を共同開発し、2015年10月から販売を開始した。三井住友海上での販売件数は今年10月末時点で1万件を超えている。「特に不動産会社系の代理店からの評価が高い。市場が大家向けなので、件数は限定されるが、販売は順調に伸びている」(三井住友海上火災傷害保険部の安澤翔氏)。

おはらい、追善供養費も対象に

一方、損害保険ジャパン日本興亜は今年8月から販売を開始した。「単身者が多い首都圏がマーケットの中心になっている。火災保険の満期がきたときなどに提案して販売している」(リテール商品業務部の高島拓也氏)。

以前から企業向け商品の1つとして販売していた東京海上日動は、2019年1月から火災保険の特約として販売を始める。「孤独死が身近な問題となり、金融機関ではアパートローン向け火災保険とのセットで販売したいというニーズが高まっている」(個人商品業務部の平尾晋吾氏)と見ている。同社の商品は清掃、消毒のほか、おはらい、追善供養の費用なども支払いの対象となる。

生保に続いて損保でも最近、認知症関連商品の販売を相次いで発表している。孤独死、認知症と続けば、次は介護あたりだろうか。孤独死保険の広がりで、高齢化関連保険の開発・販売競争が本格化していくはずだ。

堀川 美行 東洋経済 記者

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ほりかわ よしゆき / Yoshiyuki Horikawa

『週刊東洋経済』副編集長

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