韓国経済、「間違いだらけ政策」で「青息吐息」 文政権の「公共事業削減政策」が庶民を直撃
[ソウル 28日 ロイター] - 韓国のチョン・ミョンインさん(56)は、トラック代金を返済するために、仕事を探して毎日800キロも自分のダンプトラックで移動し、睡眠時間は3時間ほどだ。
それでも、燃料代も払えない他のドライバーに比べて、自分はラッキーな方だと言う。
アジア第4位の韓国経済で国内総生産(GDP)の5分の1近くを占める建設業にとっては、冬は閑散期にあたる。だがチョンさんやドライバー仲間は、今年はいつもより長引くのではないかと懸念している。
「良質」な成長を狙ったはずが…
建設業の投資額(季節調整後)は第3・四半期に8.6%低下しており、1990年代の金融危機以来で最大の下落ペースとなっている。
投資額はさらに減少すると、エコノミストは予想する。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権がインフラ支出を削減し、社会のセーフティーネット強化に資源を振り向ける政策を推進しているためだ。
一部には、このような政策シフト自体が、何千人に上るチョンさんのような労働者をセーフティーネットを必要とする立場に追い込んでいるとの批判もある。
文大統領は2017年5月に就任して以来、より広い範囲の人々に共有され、投機に依存しない「良質」な成長をもたらすよう、議論を呼ぶさまざまな経済改革策を導入してきた。
だが改革の柱となる政策の一部は、逆効果を生みつつある。最低賃金の記録的な上昇によって中小事業者が打撃を受けた。これにより労働市場が過去9年間で最低の水準にまで落ち込んだと批判されている。
また、住宅規制の強化によって取引が減速し、低所得層が不動産市場から締め出されてしまった。
今年の公共投資予算が14%削減されたことで、建設業の低賃金労働者も悪影響は避けられない、とエコノミストは指摘する。
建設業における1─10月の雇用増加率は2.3%で、2017年通年の6.4%増から減速。パイプライン建設プロジェクトが完了し、公共事業のさらなる削減が見込まれる今年は、雇用増加率がマイナス成長に転じる、と大多数のエコノミストが予測している。