無責任政治により失われた「財政均衡」の正論 利益誘導政治でツケは将来世代に

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昭和20年代に作られた財政制度審議会は、財界や学界など各界の30人ほどの有識者で構成され、政府の予算編成について具体的な提言をしてきた。財務省の諮問機関とあって財政均衡論の立場からの提言が中心となっている。しかし、かつては読売新聞主筆の渡辺恒雄氏や一橋大学学長を務めた石弘光氏ら一家言持つ人もメンバーで、官僚の作文など気にせず、政府に対し辛口の提言をする場として知られている。

これまでも「戦後最長の景気回復局面での財政赤字は常軌を逸している」(2006年)、「我が国の財政は主要先進国の中で突出して最悪の水準」(2007年)、「過度に楽観的な成長見通しだけに頼って、財政健全化努力の重要性が軽んじられてはならない」(2016年)など、歳出削減努力を怠る政権に対して厳しい建議を続けてきた。そして、今年の建議はかつてないほど厳しいトーンとなっているのである。

建議が問題視しているフリーライダーだが、その存在を放任し拡大させているのが政治であることは言うまでもない。

高度経済成長時代、自民党は増え続ける税収を原資に公共投資や各種補助金を増やし続け、政権を維持してきた。「富の再配分」ともいわれるこのシステムは、経済成長が前提だったのだ。しかし、バブル経済が崩壊し日本経済の姿が一変すると税収は伸び悩む。そこに少子高齢化の圧力が加わってきた。

財政運営の前提が180度変わったにもかかわらず、自民党はじめ各党は昔ながらの積極財政、利益誘導政治を競い合い、国政選挙での議席獲得を目指している。その原資は税収から国債発行に変わった。国民に積極的に負担増の必要性を説く政党はない。その結果、「フリーライド文化」が蔓延しているのである。

大平、福田両氏は財政の悪化に危機感を持った

すべての政治家が、無責任な積極財政派だったわけではない。建議は「昭和の政治家は戦後初めて継続的な特例公債の発行に至った際に、「万死に値する」と述べたとされるが、その後、先人たちが苦労の末に達成した特例公債からの脱却はバブルとともに潰(つい)えた一時の夢であったかのようである」と触れている。

「万死に値する」と語ったのは三木武夫内閣のときの大平正芳蔵相だ。オイルショックの後遺症が残る1975年、大平は税収減を補うため2兆円の赤字国債発行に踏み切らざるを得なくなった。この時、大平は「一生をかけて償う」とも語っており、実際、後に首相になったとき、「一般消費税」の導入を試みた。世論の反発もあって失敗したが、大平は小さな政府論の立場から財政の均衡を重視する立場を貫いた。

戦後、初めて赤字国債を発行した1965年に佐藤栄作内閣で蔵相だった福田赳夫も、後に悔しい思いを語っている。筆者には「政府が財政支出で日本の景気を左右する時代はいずれ終わる。そうならなければならない」と語ってくれたことが印象に残っている。

残念ながら今の政治家に、福田や大平のような矜持を感じることはほとんどない。

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