「駅」を脱皮、経路検索「駅すぱあと」の危機感 鉄道だけでない交通の総合案内役になれるか

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以上からわかることは、「駅すぱあと」が過去の発展の延長から大きく変化するタイミングに来ているということだ。

パーティー会場には、30周年特製カクテルが用意された。カクテル名は路線名だ(筆者撮影)

こういった未来型の公共交通手段の連携には、共同研究する企業の存在が欠かせない。当日はその代表として、AI運行バスやオンデマンド乗合タクシーなどのリアルタイム配車サービスを提供する未来シェア、ラスト(ファースト)ワンマイルと鉄道との連携に取り組むJR東日本、そして地域の情報サービスとモビリティサービスの展開を進めるデンソーの3社が、それぞれヴァル研究所との提携内容などを紹介した。

自動車産業も巻き込む変化

デンソーは自動車産業の一角を担う企業であり、公共交通での移動を前提とする「駅すぱあと」との接点がどこにあるのか予想しづらい。だが、同社は新たな時代にはモビリティ社会のパラダイムシフトが起きるとする。それは、電動化、自動運転といったハード面とともに、クルマのシェアリング利用など従来とは異なる新たな価値の創造である。

同社は自治体の情報をタブレット端末やスマートフォンを通じて住民に簡単に配信する「ライフビジョン」というサービスの提供を行っている。

その一環として、今年4月から「駅すぱあと」と連携し、京都府南東部に位置するJR加茂駅と月ヶ瀬口駅を結ぶ相楽東部広域バスにおいて運行情報をリアルタイムで住民に伝えるサービスを始めたことが紹介された。都市部ではなく、過疎化が進む山中の集落を結ぶコミュニティバスでのJR関西本線との接続実践例だ。

さらに、MaaS先進地であるフィンランドの大使による MaaS Global社のビデオメッセージが上映された。同社は首都ヘルシンキで「Whim」と呼ばれるサービスを展開している企業だ。

ここでは車を手放すにはいくら必要かとの問題提起があり、いつでもどこでも自由に行けるようになれば、車を所有する意義は薄れるとの主張が提示された。また、公共交通の市場性はモバイル通信の10倍の規模であり、極めて有望との見解も示された。

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