レクサス「ES」は「GS」といったい何が違うのか 近いサイズの高級4ドアセダン2車種の特徴

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LSは別として、GSやISに乗ると、FRということもあって運転に集中し真剣に走らせないとクルマに申し訳ないと思わせるような、走りへの重圧を感じさせるところがあるが、ESでは、運転操作に対し的確な応答である快さとともに、とにかく運転することへの負担を感じさせないところに大きな違いを感じた。

ところで、近年は、SUV人気の高まりとともに、レクサスでも「LX」「NX」、そして新たに登場する「UX」というように、SUVの車種を充実させている。そこに、見かけや大きさ、クラス的にややGSと重複するようなESを、なぜ日本市場へ持ち込んだのか。レクサスインターナショナルの澤良宏エグゼクティブヴァイスプレジデント(以下、EVP)に話を聞いた。

セダンの魅力を改めて世界で復権させたい

「アメリカでは市場の7割近くがSUVという実態があり、どの自動車メーカーもSUVの導入に力を入れています。また中国も、セダンからSUVへという転換が起こっています。そうしたなかで、セダンの魅力を改めて世界で復権させたいとの思いがあります。SUVが7割という市場占有率を持つアメリカでさえ、やがてセダン回帰が起こるのではないかと実は思っています。

4ドアセダンは、乗降のしやすさ、操縦安定性の良さ、快適さ、荷物の積み込みなど機能が調和したクルマです。FRならGSのような走り、FFならESのような室内の広さなどの特徴も出せます」と話す。

さらに澤EVPは、「国内市場においては、40歳代あたりの方でご自分の事業を始められたり、あるいは2代目として家の事業を引き継いだりした層の方々のなかに、日本の良い物を選びたいとの志向があると感じています。そういう方たちは、日常的に快適に乗れるクルマを求められているのではないでしょうか。また、初代ESを投入したアメリカ市場においては、20年近い歴史のなかでお客様の年齢層が高くなる傾向になっています。その両面から、より若々しい4ドアセダンとしてESを位置づけることをこの7代目で取り組みました」と語った。

そのうえで、価格設定の仕方も、GSとISの中間くらいに位置づけ、競合というわけではないものの、国内専用車である新型クラウンの価格帯もにらみながらの設定であるようだ。

4ドアセダンの復権という意味においては、世界90カ国でESは販売され、自動車メーカーにとっての中核となる4ドアセダンの意味を改めて問いたいとの意向である。実際、国内市場においても、ドイツ車を中心に4ドアセダンやステーションワゴンなど、旧来の中核車種が堅実に売られている。またクラウンも、そうした一角にある。そこに、ESも存在感を示そうとしているのである。

私自身、調和の取れた機能を備える4ドアセダンの魅力を実感している1人だ。また、年齢を重ねるほど車高の高いSUVは乗り降りが不便で、取り回ししにくさを覚える場合がある。若返りを狙った新型ESとはいえ、それは新型クラウンの開発と同じように、単に年齢が若いというだけでなく、若々しく活力のある生活を続けたい高齢な消費者にも、カッコ良く、快適に使えるセダンとしてESが選択肢の1つとなる可能性を、試乗から感じることができた。

どちらが良い悪いではなく、セダンとSUVが、またセダンの中でも特徴を明確にしたFRとFFといったように、消費者に正しく選択肢としてそろえられることが健全な姿だろう。一見、同じ大きさのセダンが重複するように見えるGSとESだが、同じクラスの中に明確な個性を持ったセダンがそれぞれあることを、セダン派の1人としてうれしく思う。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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