「乗りものニュース」なんともディープな実像 コアなファンだけを狙っているわけではない
――現状、メディアとして抱えている課題はありますか。
新しい情報を伝えることはもちろんですが、いかに他のメディアと違った視点や切り口で記事を提供し、読者の皆さんの生活に役立ててもらうかは、今以上に考えていかなければなりません。そのためにやれることは、まだまだたくさん残っているはずですから。たとえば、ファミリー向けの企画もその1つ。最近はお子さんの影響で鉄道ファンになった「ママ鉄」という層も存在しますし、より広い層に価値あるコンテンツを届けていきたいですね。
――昨夏から動画コンテンツをスタートさせたのも、その一環ですね。
鉄道ファンの中には、列車が走る“音”を楽しむ「音鉄」というジャンルもあるくらいですから、音声も一緒にお届けできる動画は、これから重要なコンテンツになっていくと思います。まだまだ始めたばかりで手探りの部分も多く、通常記事に比べてコストがかかるといった課題も山積みですが、これから一層力を入れていくつもりです。
有料版やコミュニティー化への挑戦
――そうして細分化されたファン層のニーズを踏まえなければならないのは、このジャンルならではですね。
その通りですが、私たちとしては決してコアなファン層だけを狙っているわけではありません。自分の好きなことを好きなように伝えるのは簡単ですが、より広い読者を取り込んでいくためには、むしろ熱心なファンの方にとって少し物足りないくらいのさじ加減がベストではないかと考えています。
その代わり、よりディープな世界を楽しみたい人向けに、この2月からは有料会員制のプレミアムサービスも始めました。今後、コアなファン向けの企画は、こちらで展開していくことになります。どうしてもPVを重視せざるを得ない無料メディアと、対価をいただくことでさらに踏み込んだ記事をお届けする有料メディア。この両輪で回すことで、メディアをさらに発展させていければと考えています。鉄道や飛行機は専門誌が存在するジャンルなので、十分にそのニーズはあるでしょう。
――まだまだ進化を続けている最中という印象を受けますが、「乗りものニュース」はこれからどうなっていくのでしょうか。最後に展望を聞かせてください。
現在の「乗りものニュース」は、あくまで情報を発信するメディアとしてのイメージが強いと思いますが、今後はそれだけでなく、情報が集まる双方向性のある拠点として機能させていきたいです。そのためにすでに、SNS的にファンが集まってさまざまな話題でコメントし合う「みんなの乗りものニュース」というサービスもスタートしました。まだ試行錯誤の段階ですが、ゆくゆくは「交通や乗り物に関する情報は、『乗りものニュース』にアクセスすれば何でもわかる」と言われるレベルまで引き上げたいですね。
(取材・文:友清 哲/編集:ノオト)
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