24歳の大谷翔平が会見で見せた驚異の人間力 新人王獲得から帰国、天才と言われる理由

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1つ目は『僕の気持ちだけで言えない』という常識的な見解、2つ目は『興味を持っている』『出場してみたい』という本音、3つ目は『普通のこと』というメディアへの控えめなけん制。「本音で答えますけど、言葉尻を取ってさわがないでくださいね」という各方面に気の利いたビジネスパーソンにふさわしいコメントだったのです。

トップで活躍するビジネスパーソンに年齢は関係ない

ワイドショーのコメンテーターたちは、「自分の24歳のときと比べると凄い」「もう少し若者らしいところがあってものでは?」などと言う人もいましたが、トップシーンで活躍するビジネスパーソンに年齢は関係ありません。また、「大谷選手が少年のように見える」という声もよく聞きますが、それは「自分の仕事を楽しんでいる」からそう見えるのではないでしょうか。

事実、大谷選手はこの日、「はじめたばかりのころから野球が好きでしたし、あまり変わることなく来ています。小さいころは週2回でしたが、『次の週末になるのが楽しみで仕方なかった』というのが続いていると思いますし、今年もグラウンドに行くのが楽しみで仕方ありませんでした」と語っていました。さらに言えば、周囲の人々にこれほどお金のにおいを感じさせない選手も珍しいでしょう。

ここでも大谷選手に、「あなたは自分の仕事を楽しんでいますか?」「毎日、職場に行くのが楽しみですか?」と問いかけられているように感じてしまいます。まるで、「そうでなければ業界のトップにはなれない」「スキルの高さより、仕事を楽しめるほうが天才」とでも言うように……。

同じ20代前半のときに日本記者クラブで会見したスーパーアスリートには、イチロー選手、錦織圭選手、羽生結弦選手がいますが、総合的な人間力の高さは大谷選手が最も高いようにも感じます。みなさんもメジャーリーガー・大谷翔平としてだけでなく、“ビジネスパーソン・大谷翔平”としても、その一挙手一投足に注目してみてはいかがでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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