半導体のスーパーサイクルは終わったのか? 好決算でも消えぬ製造装置会社の2つの不安
サムスンなどのメモリメーカーの設備投資延期は、ほかの企業でも懸念材料となっている。ただ今のところ、その影響はまだら模様だ。東京エレクトロンと同じく前工程のウエハ洗浄装置で世界首位級のSCREENホールディングスは、9月の台風で関西国際空港が閉鎖されたため、製品が出荷できなくなった。
その影響で4~9月期の営業利益が前期比17億円減の151億円となったが、受注状況に大きな影響はなく、通期では過去最高の営業利益と6期連続の増収増益を見込んでいる。ある製造装置メーカーのIR担当者は「個別事情を除いたベーシックな部分での市場拡大は揺るぎない」とみている。
ただ、「曲がり角の兆候」と言えるような不安材料もじわりと浮上している。その一つが、東京エレクトロンの業績見通し下方修正の原因ともなったメモリ市況の変調だ。
下落が続くメモリ価格
昨年まで上昇を続け、市場の成長を引っ張ってきたメモリ価格はDRAM、NANDともここにきて価格下落が続いている。スマホやパソコンの売り上げ不調などが響いているとみられ、一部ではメモリ価格はまだ高水準で、価格下落が反転するのは2019年後半だという見方もある。これが市況を冷やす要因となっている。
実際、サムスン以外にも東芝メモリと米ウエスタンデジタルが、共同運営する四日市工場(三重県)への投資を先送りしており、強気一辺倒とは言いづらい事態が発生している。東京エレクトロンのように、前工程に使う装置を扱う会社にメモリ投資先送りの影響が出ており、長引けば業界全体への影響は避けられない。
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