妊婦が診察料を「高く」払わされる根本理由 4月から始まった妊婦加算とはいったい何か

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診療報酬点数を決めている中医協の議事録によると、妊婦の外来受診については議論されていましたが、妊婦のどういう症状に対して、何をするからこれだけの加算、といった説明は読み取れませんでした。

受診時の自己負担額が変わることによって、受診頻度が変わることは複数の研究で明らかになっています。今回の負担増でも医療機関に行かない妊婦や、妊娠していることを隠す人が出てくる可能性もあります。これでは本末転倒です。

6歳未満の加算はなぜ問題にならないのか

たかが数百円の負担増ですが、たかが数百円分なのであれば、社会で負担する方法はないのでしょうか。前出のとおり、6歳未満の子どもも医療機関にかかると加算されていますが、あまり批判を聞きません。

それは、乳幼児に対しては、自治体の「乳幼児医療費助成制度」によって、患者の自己負担が実質的に無料、あるいはかなり低額に抑えられているからでしょう。

昨今、若いファミリー世帯を取り込むために、自治体同士で競い合ってこの助成制度を充実させており、最長で22歳まで医療費が無料になる地域もあります。これはこれで、別の問題があるので後日紹介しますが、自治体にはその他、妊婦健診に対する助成などもあります。個人的には、今後、助成の対象を見直し、妊婦加算をカバーする自治体が出てきてほしいところです。

妊娠中は普段よりも体調が悪くなったり、体調が気になることが増えたりする時期です。風邪で病院に行っただけのつもりだったのに、妊娠糖尿病の疑いがわかり大事に至らなかった、といった例もありますので、受診を控えることはやめましょう。

なるべく妊婦加算を少額で済ませるために、あちこちの医療機関に行って何度も初診料を払うのではなく、妊娠していることを告げて、しっかりサポートしてもらえる医療機関を1つ持つとよいかもしれません。

村松 容子 ニッセイ基礎研究所保険研究部 准主任研究員

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むらまつ ようこ / Yoko Muramatsu

死亡・疾病発生リスクについて、統計的にその発生状況を算定すること、および、消費者調査を通じて消費者がどのようにリスクに対応するのかを研究。国が公表している疾病統計以外にレセプトデータ、健診データ、健康に関する消費者の意識調査などを使ってさまざまな視点から分析している。ニッセイ基礎研究所の著者ページはこちら

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