篠原涼子が第一線で走り続けてこられた理由 「まだ自分を女優だと感じられない」と語る

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そして、これだけキャリアがあるにもかかわらず、こんな自己評価の低い言葉が続いた。

「私はまだ自分のことを女優だと感じられなくて」

溢れ出てくる想いを止められないといった表情で、篠原さんは言葉をつなげる。

篠原 涼子(しのはら りょうこ)/1973年8月13日生まれ。群馬県出身。1990年、デビュー。94年、『恋しさと せつなさと 心強さと』をリリース、200万枚を超える大ヒットを記録する。2004年、『光とともに…~自閉症児を抱えて~』で連ドラ初主演。以降、『anego』『アンフェア』『ハケンの品格』『ラスト♡シンデレラ』と数多くのヒットドラマで主演を飾る(撮影/竹井俊晴)

「いろんな女優さんとお仕事したり、お芝居を拝見したりすると、やっぱり自分はまだまだだなって思う。私は、自分で自分のことを納得させてあげられる人間になりたいし、人にも認めてもらえる人間になりたい。

そのためには、もっといろんなものを蓄えていかなくちゃいけないと思っていて。

この役も確かに難しいハードルかもしれないけど、それを飛び越えられるような人間になりたいなって。だから迷わずやらせてくださいってお願いしたんです」

そして迎えた最大の山場が、クライマックスのあるシーン。篠原さん演じる薫子の取り憑かれたような表情が、観る者を引きこんでいく。撮影当日の朝は、特別な緊張感があったという。

「いざ現場に入ったら、どんどん自分の気持ちが昂ぶっていきました。普通、本番の前にドライ(カメラをまわさないリハーサルのこと)があるんですけど、終わってから『あれ? 今、本番だっけ? ドライだっけ?』ってなっちゃうような(笑)。カメラが回っているかどうかも忘れるぐらい、薫子という女性に入り込んで、お芝居をすることができました」

運が良かったから、ここまでやってこられた

篠原さんと言えば、長年連ドラが主戦場。しかし、この1年はガラリとステージが変わっている。『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『人魚の眠る家』、そして来年公開の『今日も嫌がらせ弁当』と立て続けに映画に主演。さらに、13年ぶりの舞台『アンナ・クリスティ』ではやさぐれた娼婦を演じ、女優としての力量を改めて見せつけた。ここにきて活動の基盤を大きくシフトしたように見えるが、何か期すものがあったのだろうか。

(撮影/竹井俊晴)

「これは本当にタイミングで。自分で選んだわけじゃなく、タイミングよく立て続けに映画のお話をいただいただけなんです。本当に運が良いなって自分でも思っています」

篠原さんは、自身の仕事のスタンスを語るとき、よく「運」という言葉を使う。

「私の場合、努力というよりは運。“努力は2番目”っていう感じがすごくしていて。今回、こうして今まであまり経験したことのない映画のお仕事をいくつもいただけたのも、神様からそういうふうにやってみなさいって言われているような感覚。それで私も、じゃあやらせていただきます、ってそれに答えるんです。

次ページ一つ一つ応えていくうちに、ここまで来た
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