メガバンク、上期増益に漂う「一抹の不安」 前門のマイナス金利、後門には米中貿易摩擦

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本業の利益である業務純益がプラスとなった三井住友とみずほの2社も、収益柱である傘下銀行(三井住友銀行、みずほ銀行)の国内資金利益は前年比マイナスとなった。

ビジネス環境も不透明感を増しており、各社は慎重な見方を強める。その見方は下期の見通しに顕著に現れている。上期の実績は期初想定を上回っているにもかかわらず、三井住友とみずほの2社は従来の予想を据え置いた。唯一上方修正を行った三菱UFJも、上期に利益が2000億円上ぶれたのに対し、通期の上方修正幅は1000億円にとどまる。「実質的に下期の下方修正」(平野社長)という。

米中貿易摩擦の深刻化に加え、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の利上げにより、市場のボラティリティは拡大。日米の株価は乱高下している。

ATM共通化にも踏み出す

こうした厳しい事業環境の中で、メガバンク各社に求められるのは業務の効率化と収益力の強化だ。支店の統廃合や人員削減など経費削減に努めているほか、三菱UFJと三井住友はATMの相互開放に踏み切ろうとしている。

相互開放の対象として検討されているのは、両行が運営する支店外のATM約2000カ所以上だ。他行のATMを利用する場合、現在は平日昼間で108円の手数料がかかるが、相互開放することで無料化される。

ATMの運営は銀行にとって大きなコスト要因だ。三井住友の國部毅社長は「競争する部分と共同で進める部分を考えていく必要がある。ATM以外にも(決済に用いられる)QR(コード)の統一化など、インフラの部分は各社共同してコストを下げていく」と語る。将来的には他銀行を巻き込み、さらなる効率化を進めたい考えだ。

今回の相互利用に参加していない、みずほの坂井辰史社長は「ATMのコストは銀行界共通の問題だ。外部との積極的な連携、内部でのスクラップアンドビルドを検討していく」と話すにとどまる。コスト削減策として、今後もっと大胆な提携や共同化プロジェクトが飛び出すかもしれない。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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