「時給400円」で働かされていた外国人の悲惨

そもそも技能実習制度の役割はいったい何か

技能実習生が茨城県の農家に対し訴えを起こしました(写真:lovelyday12/PIXTA)

技能実習生が実習先の茨城県の農家に対して未払いの残業代の支払いなどを求めた裁判で、水戸地裁は農家に約200万円の支払いを命ずる判決を下しました。この200万円の中には、未払いの残業代そのものだけでなく、懲罰的賠償金である「付加金」も含まれているということに注目が必要です。

付加金は、労働基準法第114条に定められている制度で、残業代などの未払い賃金がある場合、労働者は未払額に加え、これと同額の付加金の上乗せ支払いを求めることができます。裁判所は、未払いに至った諸般の事情を勘案し、使用者の未払いに悪質性が認められる場合、付加金の支払いも認める判決を下します。

未払い残業代の支払いを求める訴訟を提起する際、原告の代理人弁護士は付加金の請求も合わせて行うことが実務上は一般的です。しかし、統計があるわけではありませんが、付加金の支払いまでを認める判決が出ることはあまりありません。仮に付加金の支払いが容認された場合でも、付加金の額は未払い残業代の3割程度にとどまることもあります。未払い残業代と同額の付加金の支払いを命ずる判決が下る場合は、裁判所は極めて悪質性が高いと判断した場合に限られます。

農家も労働基準法は適用される

今回の案件において、水戸地裁は技能実習先の農家に、未払い残業代とほぼ同額の付加金の支払いを命じました。すなわち、本件は極めて悪質性が高い事件であると判断されたわけです。

なぜ極めて悪質性が高いと判断されたのか、その根拠は3点あると考えられますので、順番に説明をしていきます。第1は、農家が労働基準法についてあまりにも無知・無関心であったということです。

前提条件としてですが、農家にも原則として労働基準法は適用されます。確かに、自然を相手にする仕事ですし、繁忙期と閑散期に片寄りがあるなどの事情を勘案し、1日8時間・週40時間の法定労働時間の規制が適用除外になるなど、労働基準法の適用が緩和されている部分は一部あります。しかし、労働時間に応じて賃金を支払うことや、残業が発生した場合は残業代として割増賃金を支払わなければならないことは、農業を営む事業主にも適用されます。

加えて、もう1つ前提条件として押さえておきたいのは、技能実習生も日本人労働者と同等に労働基準法の適用対象になるということです。技能実習生を、最低賃金を下回る賃金で働かせたり、サービス残業を行わせたりすることは当然違法となります。

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