生鮮コンビニ「ローソンストア100」の捲土重来、新業態で初の多店舗展開が視野


 出店は一時凍結。外部から人材を補強し大きく方向転換を図る。独自色を打ち出すため、限定品やPB商品を作ってもらえるメーカーがあると聞けば、全国各地を飛び回った。

ライバルの研究にも力を入れた。数人がかりで九九プラス店内の全品を買い付けたこともあった。この頃店名も「ローソンストア100」に変更。満を持して出店再開すると、日販は40万円まで前進した。

だがそれも長くは続かなかった。小規模ゆえ、相手がローソンのお抱えメーカーであっても、独自企画を打ち出しにくく、店舗は目玉商品を欠いたまま。「ここまでやってもダメなのか」。前田氏にとっては「毎日が地獄のよう」だった。店舗数は80店にとどまり、初年度6億円、2年目は10億円の赤字を計上する。

苦戦していたのは、ライバルも同じだった。同じく商品開発の不利に悩み、年200店以上の大量出店に踏み切った九九プラスも、壁に直面していた。消費者の認知は進んだものの、都市部では自社競合が起こり、地方の不採算店が足を引っ張る状況に陥った。追いかける側は商品力の弱さに悩み、先を走るパイオニアは多店舗展開でつまずく。独自路線の成長に限界が訪れていた。

起死回生の業務提携 シナジー発現で大幅改善

そこで新浪ローソン社長が動いた。深堀九九プラス社長に、ストア100との提携を打診。深堀氏も応じ、07年2月にローソンが九九プラス株式20・8%を取得、同12月には34・2%まで買い増し筆頭株主になる。河原氏に加え前田氏も九九プラスの役職を兼任。二人三脚による立て直しが急展開したのだ。

九九プラスは念願だった大手メーカーとの取引ルートを軸に、弱点の中食カテゴリーをテコ入れ。物流はローソンのシステムを活用し、調達面もローソン親会社の三菱商事グループと協力するなど、シナジーを追求。ストア100も、商品企画や売り場の作り方、出店コストの削減など、運営面の課題を学んでいった。看板商品のPBは「バリューライン」に統一。国産比率を高めるなど、品質基準をローソンに合わせて共同開発に取り組んだ。九九プラスの840店が加わり、ストア100単体では実現できなかった商品や販促が進み、冷凍食品を中心に各カテゴリーが充実。利益率も大幅に改善した。

そうした店頭の変化を、消費者は見逃さなかった。

日販は今年4月に50万円に到達。夏場はパンや牛乳、総菜などの必需品が牽引し50万円台後半をキープ。一気に“本丸”ローソンを抜き去った。主婦や単身男性など、新規客が増加し、単月ベースで黒字転換を達成。発足から3年余り。多くの失敗を乗り越え、ストア100は多店舗化へ道を切り開いたのだ。

今年8月、ローソンは九九プラスを連結子会社化。SHOP99からストア100への転換を進めている。来期中に全店の転換を完了させ、3年後に1200店(現916店)、最終的には3大都市圏を中心に2000~3000店規模へ拡大させる。実現すれば、コンビニ新業態初の快挙だ。「地域に根差した食品スーパーがライバル」と話す河原氏。未曾有の消費不況の中で、着実に顧客をつかみ始めた生鮮コンビニ。少子高齢化社会のニーズに応え、自らも攻勢に転じる準備は整った。


(田邉佳介 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)
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