生鮮コンビニ「ローソンストア100」の捲土重来、新業態で初の多店舗展開が視野

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生鮮コンビニ「ローソンストア100」の捲土重来、新業態で初の多店舗展開が視野

今夏、100円均一で生鮮品や加工食品を販売する生鮮コンビニが、ついに本家コンビニの売り上げを凌駕した。ローソンの100%子会社、バリューローソンが運営する「ローソンストア100」(以下、ストア100)の日販(1日の売り上げ)が、7月に58万8000円を記録。ローソンの51万8000円(2008年度中間期)を抜き去り、業界トップのセブン‐イレブンの62万9000円(同)に迫る勢いを見せつけたのだ。

相次ぐ食品値上げが、消費者の生活防衛意識を強固にしている。その結果、弁当や総菜を買って食べる「中食」や、家庭で調理する「内食(うちしょく)」志向が高まり、生鮮コンビニの業績を押し上げている。

生鮮コンビニは、九九プラス(店名「SHOP99」)の深堀高巨(たかひろ)社長がアメリカの「1ドルショップ」にヒントを得て作った業態だ。1990年代後半、1~2人前の小分け・適量をコンセプトに、野菜、果物、総菜などを99円均一で売り出した。すると、それまでコンビニが取り込めなかった主婦や高齢者から大きな支持を集めるようになる。デフレ時代の波にも乗り、00年代から年間100店超の大量出店を開始。05年には500店舗を突破した。

既存店舗が飽和状態に突入し、新たな成長軸を模索していたコンビニ各社は、当然食いついた。am/pmジャパンが05年3月に「Food Style100」を出店すれば、同年5月にスリーエフも「キュウズマート」で追随。サークルKサンクスも親会社ユニーと共同で「99イチバ」を展開する。ローソンも店名「ストア100」で参入。新浪剛史社長は「今後3年間で1000店を出店する」と宣言した。

生鮮品と初めて対峙 築地に通って仕組み作り

白羽の矢が立ったのは、現ローソン上級執行役員の河原成昭氏。イトーヨーカ堂を振り出しに、外資系コンサル等を経た異色の経歴で、新業態にうってつけの人物だった。

社内から人材を物色し、口説いて回り、ついに書き上げたメンバー表。新浪社長は一目見るなり吐き捨てた。「これはどういうことなんだ」。それもそのはず、リストに並んだ名前は「社内で日の目を見ない変わり者ばかり」(河原氏)だったからだ。ローソンの延長線では新業態を確立できない。河原氏にはそんな思いがあった。「転籍でもいいのか」と畳みかける新浪社長に、チームは、それでもいい、と覚悟を決めた。打倒九九プラスを旗印に、新プロジェクトが船出した瞬間だった。

品質管理を担当していた前田淳氏(現バリューローソン専務取締役)は打ち明ける。「ローソンのノウハウを持ってすれば簡単にできる。最初はそう考えていた」。

だが実のところ、コンビニ業界は本格的に生鮮品を扱った経験がない。むしろ管理の難しさから敬遠してきた。新チームは野菜の価格をライバル同様100円に抑えつつ、調達や流通、ロス管理までの仕組みを構築することから始めた。が、取引実績や仕入れ規模もない新参者に、進んで協力する業者は少ない。

各地の業者を回り、粘り強く交渉を続けた。生鮮品以外の商品でも、100円均一が高いハードルとなった。バイヤーが提案してくる商品は当初、「コンビニの品ぞろえから100円で売れるものを集めただけ」(前田氏)という屈辱的なもの。  

将来のFC展開に向け、収益モデルの確立も重点課題だった。通常、コンビニは30%前後の粗利益を加盟店と本部で分け合う。だが、生鮮品の粗利率は20%前後。コンビニ並みの収益を上げ利益を配分するには、店舗のローコスト運営が不可欠だ。

チームは半年をかけ、築地の卸業者と手を組み安定した価格で野菜を供給する仕組みを作った。店舗は販売に特化し、公共料金の収納代行や宅配便は取り扱わない。商品の配送もコンビニの1日3便から1便に減らした。居抜き出店や、ローソンの物流網を活用するなど、あの手この手でコスト削減に知恵を絞った。

そうして迎えたストア100の1号店。当初日販は100万円超の好発進。が、それもつかの間、数週間後には客足が激減し、ライバル店からの偵察も姿を消した。8店舗まで出店を進めるが、日販は30万円に低迷。「コンビニのノウハウを導入しすぎた失敗だった」(河原氏)。

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