日経平均の先行きに「強気」になれない理由 企業業績予想は保守的、株価も安そうだが…

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もう一つ、中間選挙の結果として影響が生じうるのが、大統領弾劾に向けての展開だ。下院は過半数の賛成があれば弾劾を決議できるので、それは十分ありうる事態となった。ただし、上院でも可決するには、3分の2の賛成が必要となっている。このため、現実の弾劾の確率は、中間選挙前と後とで、何ら変化していない。もちろん、ロバート・モラー特別検察官の調査において、共和党議員ですら「トランプ大統領を弾劾せざるを得ない」と考えるような結果が出てくれば別の話だが。

「2番天井」かどうかは不明だが19年の厳しい見方は不変

こうして日米株価はいったんの戻りをみせたわけだが、先週末にかけて戻りの勢いは早くも減じてきている。特にアメリカ市場のナスダック総合指数については、11月8日(木)、9日(金)と、下落色を強めている。

アメリカでは、早くも「中間選挙ラリー」が一巡した様子であることに加え、8日(木)に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の声明で、「さらなる利上げが正当化される」と12月の利上げが示唆され、金利上昇懸念が再浮上したことも、株価の足を引っ張った模様だ。12月利上げ説は、以前から予想されているため、株価を押し下げる力は弱いはずだが、それだけ足元のアメリカの株価が脆弱さをはらんでいると解釈できるだろう。

日本でも、前述のように、「まだ」企業収益の実績は堅調だし、企業側の通期の収益見通しは慎重すぎると解説した。それでも、現時点では明確なものではないが、徐々に世界経済(特に中国)が減速する兆しが表れ、これが経営者の心理に影を落としている。年度下期の企業収益が増益でも、その勢い(増収増益率)が衰える可能性が広がり、それで足元の株価に上値の重さを生じさせているのだろう(そしておそらく、来年度は減益に転じ、株価を本格的に押し下げると懸念している)。

現段階では「先週で日経平均が2万2500円前後で2番天井(10月の高値からみて、それよりも低い天井)を打ってしまったのか、それともごく目先株価が足踏みした後、2万2500円水準を抜けてくるのかは、正直言ってわからない。ただ、依然として、10月の今年の高値を奪回する可能性はしばらくないと見込むし、2019年前半にもっと厳しい相場が来ると懸念している点は、変わらない。

もし足元の戻りがあっても最高値で売ろうとは欲張らず、当初から売りを計画しているのであれば、「最高値でなくても高値「圏」で売り上がろう」と考えるべきだろう。「それでは困る、何月何日に、日経平均が何円で高値を付けるのか、正確に予想して欲しい」という読者の方は、筆者のコラムは読むことをやめて、そうした見通しが的確に当たると称している専門家の話を参考にしていただきたい。

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