「朝型人間は仕事ができる」の怪しすぎる根拠

成果との相関関係をしっかり見極めるべきだ

Dさんが朝型で仕事をする理由を訊ねると、目覚めた直後のパフォーマンスの高さを挙げてくれました。人間は睡眠によって脳の疲労を取り除かれるので、起きた直後が最も脳の疲労が少なく、集中力が高まる時間帯です。ところが誰もが出勤してくる時刻になると周囲がざわつき、上司や同僚からの「ちょっといいかな」と呼び出しなどで集中力が切れてしまうリスクがたくさんあります。

就業時間を早めることで、仕事効率が上がる

集中力といえば、職場に集中作業室と呼ばれる一人でこもれるような環境の整備をする企業が増えています。プログラマーや分析業務をする社員など、開放的な環境がマイナスに影響する業務があるとの認識からです。集中力問題はたしかに多くの職場にある課題ではあるのです。

また、夕方になるとストレス耐性が下がるといった医学的な見地からの調査もすすんでいます。そこで、会社単位で朝型を勧めようとする動きが生まれつつあります。とても望ましいことのように思えるのですが、Dさんが周囲の迷惑となってしまったのはなぜなのでしょうか。

Dさんの社内での人事評価はかなり高く、同期でもトップクラスの昇進をしてグループリーダーに抜擢されています。朝型という働き方をし、結果も出している優秀な社員として社内でも注目の存在。

すると人事担当役員から「D君のように朝型で仕事をする社員を増やすべき」との意見が出たのです。人事部は役員の意見を受け止め

「了解しました。早速取り組みます」

と朝型の仕事を推奨することを検討。役員会の承認を経て、翌月から社内に告知して実施することになりました。その内容が

・7時半までに出社する社員に対する朝食の提供
・早朝勤務(8時まで)を深夜勤務と同様に割り増し賃金を支払う

など。さらに社内報で早朝出勤している社員を取材する企画で社内にPRをするなど、打ち手を次々と講じていきました。

すると1年後には早朝に出社して仕事をする社員が急増。5時台には1割、6時台には3割近い社員が出社する状態になりました。

次ページ早朝出勤の社員は増えたものの…
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