死んでいる会社の「勘違い課長」、6大共通NG 「いつも机に」「妥協ばかり」…御社は大丈夫?

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「妥協」ばかりして目標が定まらないのも、「死んでいる会社」の課長の特徴である。

【5】「妥協」ばかりして目標が定まらない

チームが結束して進んでいくには、課長が「ぶれない軸」を持たなければならない。新たな未来を創造しようとするのであれば、確固たる信念がなければならない。

しかし、「死んでいる会社」の課長には、この「ぶれない軸」がない。軸がないので、周りの意見に振り回され、最後は安易に妥協して無難なところにとどまってしまう。

一方、「生きている会社」の課長は、確固たる「ぶれない軸」を持っている。「ここだけは妥協しない」という軸が定まっていることで、チームの結束が強まり、実行力や突破力が高まる。

課長は「管理職」と呼ばれるが、管理することが仕事ではない。創造や変革に必要な力を持っている人たちをひとつに束ね、「one team」をつくることが最大の仕事である。「one team」をつくり上げるには、共通の目標と「ぶれない軸」が不可欠である。

【6】安易な「低い目標」で満足する

新たな創造や変革を成し遂げようとすれば、必ず「大きな壁」にぶつかる。これまでの常識を否定し、「新たな常識」を生み出そうとするのだから、何度もはね返されるのは当たり前のことである。

その壁を打ち破って前進するためには、「粘り」が不可欠である。「生きている会社」の課長は、壁にぶつかり、はね返されても、すぐに立ち上がり、何度も果敢に挑戦していく。当初に掲げた大きな目標をしっかりと見据え、たとえ遠回りしてでもその頂を目指している

課長には「自分が最後の砦」という自覚が必要なのだが、「死んでいる会社」の課長にはこの自覚が欠如している。

「やるだけやったのだからしようがない」「理解がない上司だからあきらめよう」と安易に掲げた「低い目標」で満足してしまう。戦いもせず、楽な選択ばかりをする課長たちばかりの会社に、未来があるはずもない

「ミッション・マネジャー」が未来を創造する

会社のエンジンであるべき課長がどれだけ力を発揮するかは、「目先の業績」のみならず、「未来の創造」という意味で極めて重要である。

『生きている会社、死んでいる会社―ー「創造的新陳代謝」を生み出す10の基本原則』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「生きている会社」では、未来を創造するという重大なミッション(使命)を担う「ミッション・マネジャー」が縦横無尽に活躍している。ミッションを担う課長は、「未来への責任」を自覚し、挑戦し、変革をリードする。

一方、「死んでいる会社」では、目先の仕事をこなす、さばくだけの「タスク・マネジャー」「ファンクション・マネジャー」しかいない。目先の仕事を回すことが自分の役割だと勝手に思い込み、「未来は誰かほかの人が創造してくれる」と勘違いしている。

課長が変わらなければ、会社は変わらない。「死んでいる課長」を放置したままでは、会社に未来はないのだ。

皆さんの職場の課長は「ミッション・マネジャー」として機能しているだろうか。もし今「死んでいる課長」でも、本記事で紹介した6大NGを改善できれば、「生きている課長」に変身することができると私は確信している。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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