米中間選、「セレブの発信」が熱を帯びた背景 俳優や歌手が政治への関心を喚起している
ここでSNSに想いをつづるだけで済まないのがエイミーだ。彼女は公聴会のあとに自身のSNSを更新し、そこではカバノーに対する抗議デモへの参加を呼びかけた。
公聴会の数日後、首都ワシントンの上院議員会館では座り込みの抗議運動が行われ、300人もの逮捕者が出た。エイミーもその逮捕者の1人となった。モデルで女優のエミリー・ラタコウスキーとともに拘束された彼女は、連行されるとき、「上等だ」と言わんばかりに左の拳を突き上げていた。
エイミーが自身に関するゴシップネタを社会問題への関心向上の機会に使おうとしたのは、実は今回の妊娠発表が初めてではない。彼女は今年2月に自身の結婚が報じられた際にも、直前に起きたフロリダ州パークランドの高校での銃乱射事件についてInstagramで触れ、「祝いの品はいらないから、EVERYTOWN(銃規制を推進するNPO団体)への寄付を考えて」と投稿した。
エイミーにはつらい過去がある。主演を務めた映画『エイミー、エイミー、エイミー!』を上映中の映画館が、2人死亡、9人負傷の悲劇を生んだ銃乱射事件の舞台になった経験があるのだ。そのため銃規制への思いはひときわ強い。
セレブが情報発信のプラットフォーマーに
アメリカではつい先日もユダヤ教礼拝所で11人が死亡する乱射事件が起きた。ユダヤ教徒をターゲットにしたヘイトクライムは、トランプへの信任を問う選挙を前に改めて社会の分断を浮き彫りにした。
セレブリティのステータスは、時に分断を超えて社会にメッセージを届ける力を個人に授ける。だからこそ、企業やブランドは彼らを広告塔に起用する。このような時代だからこそ、その影響力を大衆の消費を促すだけでなく、社会のために行使することの意義は少なくない。
SNSの普及はメッセージの伝播を格段に容易にした。ステージやスクリーンで人を笑わせ、スポットライトの外では怒りを隠すことなく社会の弱者のために声を上げるエイミー・シューマー。彼女の行動は、大衆に社会問題への関心を喚起するプラットフォームとしてのセレブのあり方の一例を示している。
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