米中間選、「セレブの発信」が熱を帯びた背景 俳優や歌手が政治への関心を喚起している
このように、世間の注目が集まる場を使ってポリティカルなメッセージを伝えようとする者は多い。中には自分の妊娠発表すら、人々に政治への関心を訴える機会に利用したセレブもいる。女優でコメディエンヌのエイミー・シューマーだ。
エイミーは、コメディ界の第一人者ジャド・アパトーとタッグを組んだ映画『エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方』で、2016年にゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされた。日本でも映画好きの間ではよく知られている女優の一人である。
彼女は2018年10月23日、夫でシェフのクリス・フィッシャーと自身の顔をイギリスのヘンリー王子とメーガン妃の写真に合成して、Instagramにこう投稿した。
「ジェシカ・イェリンのインスタページでエキサイティングなニュースを発表します。彼女をフォローしてくれれば、最新の今起きていることがわかるよ。彼女は今日私がちょっとしたノイズを投稿するのを許してくれた。彼女をフォローして、投票して!」
ファンたちがジャーナリストのジェシカ・イェリンのInstagramストーリーを見てみると、そこにはエイミーが支持する候補者たちのリストが書かれた画像が投稿されていた。議員たちの名前のリストのいちばん下には「私は妊娠しました。エイミー・シューマー」の文字。こうして彼女は第一子を授かったことを人々に報告したのだ。
セレブの妊娠発表といえば、そのためにあつらえたような美しいマタニティフォトが今やおなじみになっている。妊婦となった自身のポートレートとともに雑誌やSNSで発表するというケースは確実に増えてきている。
片や、風刺を利かせたポリティカルなメッセージをトリッキーな方法で自身のおめでたい出来事とセットで公表するのが、コメディエンヌであるエイミーらしい。
「セレブの妊娠発表」はマスコミや世間にとっては格好のゴシップネタになる。特別な注目が集まるからこそ、その高い関心を利用して自分の伝えたいメッセージを伝える――。とてもクレバーなやり方だ。
最高裁判事候補カバノーを批判
エイミーはこれまでも世間の目を恐れることなく、社会問題や政治にかかわるアクションを積極的に起こしてきた。9月、アメリカの連邦最高裁判事候補としてトランプ大統領から指名されていたブレット・カバノーが、彼から10代の頃に性的暴行を受けたという複数の女性に告発されると、エイミーを含む多くのセレブたちがカバノーを批判した。
疑惑を否定するカバノーに対し、公聴会で感情を込めながら被害当時の様子を証言した告発者の1人、大学教授のクリスティーン・ブレイジー・フォードの姿は、「#ImWithDrFord」とツイートしたレディー・ガガをはじめ、多くの女性の連帯を生んだ。
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