アリババが「独身の日」を機に目指す新境地 オン・オフの連携を強化

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たとえばコニャックメーカーのヘネシーは、Tモールの商品ページを使って、その商品がどのようにしてつくられているのか、何とよく合うのかなどを説明している。またこれにより、オンラインで購入、店舗で受け取る、店舗から出荷といったオンライン/オフラインの配達オプションも提供できる。

ショッピング体験全体のパーソナライズには、拡張型の試着室を使えば、商品に関する店からのフィードバックをプロフィールに保存できる。エンドレスアイル用の画面はオンライン注文を簡単にし、顧客のオンラインデータに基づく店内のおすすめ商品を表示する。会計をよりシームレスにしたければ、小売業者はアリペイによるキャッシュレス決済を採用できる。

店舗に投資する理由

目標は、アリババにとって年間最大のショッピングデー、独身の日の売上全体を伸ばすことだ。中国のeコマース市場は世界最大だが、購入の80%はいまだに店舗で行われている。フォーブス(Forbes)によれば、アリババは過去3年間で80億ドル(約8950億円)以上を店舗販売に投資してきたという。

そのなかには、アリババが所有・インキュベートするスーパーマーケットチェーン、ファーマーションシェン(盒馬鮮生)への投資や、リテールテクノロジーへの投資も含まれている。独身の日に向けたこうした大仰な仕掛けにより、アリババの今年のショッピングイベントの売上はさらに伸びる見込みだ。同社は昨年、24時間で250億ドル(約2.8兆円)の売上を達成した。

「(店舗は)ユーザーにアップセルしたり、店内体験で彼らをあっと言わせたりするのにうってつけの場所だ。また、顧客は高度にキュレートされたプレミアムなショッピング体験を求めている。思わず長居したり、店内をブラブラしたり、商品を試してみたりしたくなるような」と、中国のクリエイティブエージェンシー、ハイリンク(Hylink)のインターナショナルPR部門を率いるマデリン・フィッツパトリック氏はいう。

これまでのところ、ニューリテール・プログラムは中国の各地元チェーンで規模を拡大して展開されてきた。独身の日の当日には、ファーマーションシェン(100店舗)、大型スーパーのRTマート(大潤發:400店舗に対してアップデートを行い、QRコードに対応できるようにした)、高級ショッピングモールのインタイム(銀泰商業集団:62店舗)、ホームグッズチェーンのイージーホーム(居然之家:222店舗)が参加する。

独身の日に参加する海外ブランドにとっての主たる魅力は、店舗を持たない地域にいる顧客へのリーチだ。中国の店頭販売ネットワークは上海や北京などの大都市に密集している。そのため、こうした都市以外の顧客はブランドに直接触れる機会を持っていない。

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