「なぜG8は貧困国への援助計画を示さないのか」 コロンビア大学地球研究所所長 ジェフリー・サックス

国連の「ミレニアム開発目標」は、貧困と飢餓と病気を減らすことに関して合意した国際的な目標である。この目標は2000年に国連で採択され、15年までに達成されることになっている。今年は目標を設定してから5年目に当たる。しかし、G8は貧困国への援助を増やす約束を反故にしようとしている。

 05年にイギリスで開催されたG8のグレンイーグルズ・サミットで、10年までにアフリカに対する援助を倍増することが約束された。サミット直後、私はサミット後の事態の推移を議論するために政府高官レベルの小さな会合に招かれた。その際、私は、毎年の援助増加額と、援助増加分を援助国と被援助国の間でどう割り振るかを示す計画表を提出するよう求めた。

 しかし、会合の反応は冷ややかで、政府高官から「そんな計画表は存在しない。アメリカが計画表を作成しないように執拗に要求している」という返事が返ってくるだけであった。問題は明確である。G8は明確な約束をしたにもかかわらず、それを実現するための具体的な計画は何も準備されていないのである。

 G8は現在、“無為の成果”を手に入れつつある。グレンイーグルズ・サミットの翌年、最貧国向けの債権を放棄することで援助額が水増しされた。この債権放棄はほぼ実施されたが、数字面からは厳しい事実が明らかになっている。国際的な約束に反して、アフリカなどの貧困国への開発援助は以前よりも停滞しているのである。

 具体的には05年から06年の間に債権放棄分を除くとアフリカに対する援助額はわずか2%増えたにすぎない。さらにこの間に債権放棄を除いたODA(政府開発援助)の総額は2%も減少している。通常なら援助国の立場を代表する世界銀行でさえ、債権放棄分を除くと「援助を増額する約束は実行されなかった」と認めているほどである。

 G8の政府高官の個人的な反応はさらに驚くべきものであった。ある政府高官は私に向かって、「要するに援助の約束はすべて嘘っぱちさ」とさえ言っていた。私は彼に同意する気はないが、そうした意見が出てくる冷ややかな状況は気をつけるべきだ。このような雰囲気は、G8の最高のレベルの担当者が行っている議論の本質を反映しているからだ。

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