「なぜG8は貧困国への援助計画を示さないのか」 コロンビア大学地球研究所所長 ジェフリー・サックス

G8所得の0.1%を援助に向ければ目標は達成できる

 私たちは達成不可能な援助目標について議論しているのではない。金額の多寡が問題なのではない。約10億人の国民を代表するG8は、アフリカに対する援助額を04年の250億ドルから10年までに500億ドルに増やすと約束したのである。その増加額は、援助する先進国の所得のわずか0・1%以下にすぎない。

 昨年のクリスマスにウォール街で支払われたボーナスの総額は240億ドルに達している。暴力以外何ももたらさないイラク戦争の戦費は、毎年1000億ドルを上回っている。G8が本気で約束を守ろうとすれば、できない相談ではないのである。

 こうした状況に対する信頼性を回復するために、G8は2010年までにアフリカに対する援助を毎年250億ドル増やす約束を実施することを明確にしなければならない。G8が立場を明確にすることで、援助増額の約束を冷笑する政府高官は自分の役割を本当に理解することができるようになるだろう。G8は、抽象的な約束ではなく、明確な行動計画を示すべきである。国別の具体的な約束を明らかにしなければ、各国政府は驚くほどの手抜きをするだろう。

 最後に毎年どれだけの援助が増額されるのかという情報を被援助国に提供すべきである。それによって被援助国は事前に計画を立案することができるようになる。その増額分で道路や発電所、学校、病院を建設し、教師や医師などを養成するべきである。こうした投資を行うには事前に計画を立案すべきである。援助は関係国の間の“推測ゲーム”であってはならないからだ。明確な言葉で約束すべきであり、だからこそ被援助国は安心して援助を利用することができるのである。

 G8の問題は、誠実さと政治的意思だけでなく、基本的な能力すらも欠けていることである。アメリカの援助機関は長い間、有力な指導者を持たず、明確な戦略を立案できなかった。そのためアメリカ政府はアフリカで何をすべきかさえわからない状況に置かれている。ブッシュ政権は、政府の同盟者である宗教グループを通して援助を行うことで、援助を政治的に利用しているのである。

 幸運にも、現在しなければならないことは、それほど複雑ではない。アフリカ諸国は医療、教育、農業、道路や発電所、インターネット接続といったインフラに優先的に投資を行うことを明らかにしている。こうした投資によってアフリカ諸国はミレニアム開発目標を達成することができる。投資計画はすでにテーブルの上に置かれて、G8の資金が到着するのを待っているのである。

 先進国は貧困国に教訓を垂れるのをやめ、自らの約束を守るべきだ。G8は、約束したがまだ実行していない事柄に責任を取るべきである。

(C)Project Syndicate

ジェフリー・サックス
1954年生まれ。80年ハーバード大学博士号取得後、83年に同大学経済学部教授に就任。現在はコロンビア大学地球研究所所長。国際開発の第一人者であり、途上国政府や国際機関のアドバイザーを務める。『貧困の終焉』など著書多数。

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