41歳新婚、モテ系女性が思い出す元カレたち 華麗なる恋愛遍歴の最後に選んだ夫とは…

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「会ってみたらダマされたと思いました(笑)。写真よりも太っていて、服装は明らかに古着なんです。私はコンサバなファッションが好きなのですが、彼のこだわりらしくて結婚した今でも直してくれません」

穏やかで優しそうな印象は会っても変わらなかった。付き合い始めると、ワイン好きで料理上手なこともわかった。鴨のコンフィやトリッパといった凝った料理を自宅でご馳走してもらい、里奈さんは「胃袋をつかまれた」と笑う。

しかし、付き合い始めて3カ月を経過しても結婚の話は出ない。早く結婚して妊活に入りたかった里奈さんは遠慮なく問い詰めた。すると、実は達也さんは小売企業を退職しており、失業中だとわかった。外食ではなく自宅で料理を振る舞ってくれたのはお金がなかったのが理由でもある。結婚を前提にお付き合いしていたはずなのに、なぜそれを先に言ってくれなかったのか。里奈さんは達也さんを責めた。彼は「ごめん」とうつむいてしまった。

強気と勇気ある宣言

その後、達也さんは無事に再就職を果たすが、結婚に向けて進もうとしなかった。昨年末に里奈さんは達也さんに宣言をした。

「2017年中に籍を入れないのであれば別れます。言い訳は聞きたくありません」

これぐらいの強気と勇気がアラフォーの婚活には大事なのかもしれない。里奈さんと達也さんは無事に結婚し、すぐに妊活に入る。そして、2回目の人工授精で妊娠に成功した。

「子どものことについては彼が協力的でよかったと思います。病院にも行ってくれたし、サプリメントも嫌がらずに飲んでくれました。ちょっと前まではつわりがひどかったのですが、彼は家事も手伝ってくれて毎日のように背中をさすってくれたんです」

不満がないわけではない。特にお金だ。結婚当初、達也さんは生活費などをすべて折半するのが当然だと思っていた。里奈さんは違う。ワインやファッションにお金を使ってしまう達也さんでは子どもの教育費用などを捻出できないと考え、彼の収入で家賃や光熱費、食費などをまかなうことを主張。里奈さんの収入は出産や子育てのために貯金するのだ。

「子どもが生まれたら私はしばらく働けなくなる。そんな人からあなたは家賃を取るの?」

またしても強めの発言である。達也さんが折れて、現在に至る。彼はいわゆる「かい性がある」タイプの男性ではない。しかし、里奈さんにほれているのは確かだし、家事能力も高い。貯金はないけれど借金もなく、健康に働いている。住む場所や子どもについても里奈さんの希望に沿ってくれた。主義主張を曲げないのは服装ぐらいだ。

ハイステータスな夫を持つ友だちや母親に囲まれている里奈さんは、「駐在員の妻になっていたらどんな生活だったのだろう」と想像してしまうこともある。すごく好きだった元相撲取りの彼の消息も気になる。地元に帰って無事に公務員になったことを知ったときは、うれしくて1人で号泣をしてしまった。まじめで愛情も正義感も強い彼ならばきっとよき公務員になるだろう。とにかく幸せになってほしい、と里奈さんは願う。

人は2つの人生を送ることはできない。慎重さと気の強さが同居して、譲れないものが多い里奈さんには、達也さんのような柔軟な男性がベストパートナーだったのだと筆者は思う。彼への感謝の気持ちを忘れなければ、里奈さんの幸福は続くはずだ。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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