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「農業は儲からない」という説の大いなる誤解 市場縮んでも新規参入にこそチャンスはある

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  • 山下 弘幸 農業参入コンサルタント/農テラス代表取締役
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福岡市のむらおか本社に、安心院オーガニックファーム、臼杵農場、九州各地の協力農家で生産した有機野菜を集めてパッキングし、そこから顧客や販売店に届けるという仕組みです。開始当時から村岡さんには、自分が農業をやっているという意識はあまりなかったのかもしれません。流通業者として自分のビジネスを総合的にとらえたとき、農業に乗り出すことが必要だったということです。

今、農業界で活躍し、成功している人たちは、みんなもともと農業をしてきた人たちではありません。農業を始めて、長くてもせいぜい20年ほどです。農業を新たな視線で見直すと、そこにはチャンスがいくらでも転がっています。

いわゆる成長産業とはちょっと違う農業

とはいうものの、私はなんのただし書きもなく「農業は成長産業だ」と言い切るのは控えたいとも思います。

たとえば政府は、アベノミクスの成長戦略で、"成長産業"として「農業」「医療」「福祉」「エネルギー」などを挙げていますが、これまでの経済の歴史を振り返ってみると、成長産業が成り立っていたのは、基本的に今後も急激に需要が広がっていく分野でした。

戦後の日本経済を支えてきたのは、3種の神器(テレビ・電気洗濯機・電気冷蔵庫)で成長した家電メーカーや、マイカー時代の到来で世界のトップに躍り出た自動車メーカーなどの第2次産業でした。また、それにともない運輸、通信、商業、金融、サービス、情報通信産業などの第3次、第4次産業も発展してきました。これから先も、新たな技術の開発により、新しい成長産業が次々と誕生していくことでしょう。

農業はそうしたいわゆる成長産業とはちょっと違います。

みんなが食べる農作物を生産することは、これまでとまったく同じです。人口減少時代に突入した日本で、これまでのように"右肩上がりの成長"を期待できるわけではありません。間違いなく国内のマーケット規模は少しずつ縮小していきます。

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しかし、そのマーケットの構成が、これから急激に変わっていくことは間違いありません。今でこそ、国産の農作物のシェアのうち98%は、従来農業を営んできた農家によって占められていますが、今後は、新規参入者が占める割合がどんどん増えていくことは間違いないでしょう。

日本の農業は、およそ200万人の農家の人々が、100のマーケットを独占的にシェアしていますが、規制緩和で農家以外の人にも農業への門戸が開かれました。一方、これまでの農業従事者の多くは、積極的にシェアを広げようとは思っていません。むしろ将来を悲観して、撤退しようとさえ考えている状態です。

つまり、今の農業界においては、新規参入者を排除しようとする力がそれほど強くないということです。だからこそ、チャンスなのです。

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